俺強えぇぇ!!したいのに必ず幼馴染に邪魔される件について

角刈り貴族

第1部 ガルオス学園一年生

第1章 幼馴染強えぇぇぇ!

第1話 秀才と鬼人

 前世で中学生の時、俺は居眠り運転をしていたトラックに轢かれて死んだ。


 そして目が覚めると魔法やら呪術やらが蔓延る世界、サルヴォスに生まれ変わっていた。


 文明レベルとしては前世と同じぐらいの科学力、それに魔力や呪力を利用した超技術が使われているみたい。


 勿論、そんな中二病心が疼く世界に生まれたんだ。 俺はすぐに決心した、この世界で最強の力を手に入れて圧倒的な強者になってやると。


 三歳までは体が出来上がってないのであらゆる超能力、魔法や呪術などを学んだ。


 中でも魔法は宮廷魔術師などしか使えない上級魔法を二歳で使える様になった。 二歳でだ。


 五歳ぐらいから本格的に剣術や体術を学び始め、僅か七歳で王国武道大会で準優勝を果たした。


 準優勝だった。


 それから十歳頃までは各々の分野を出来るだけ高め、それらを統合した俺流闘法を編み出した。


 因みにその闘法の名前は無欠統合流と名付けた。 あらゆる技術を統合した完璧なものだったからだ。


 俺的には完璧なものだった。


 それから十五歳までさらに強さを求め、武者修行や仙人生活、異国や遠くにある島国など様々な国を廻った。


 

 そして遂に十五歳、俺は王国一の学園である王立ガルオス学園に成績二位で入学することを果たした。


 一位じゃなかった。 一位は横でヘラヘラ笑っている幼馴染だった。


 またかよ、なんだよ! 毎回俺の邪魔をしやがって!!


 コイツは何時もそうだ! 小さい頃から俺の見せ場を毎回搔っ攫っていきやがって! 七歳の頃には王国武道大会で大衆の前にボコボコにされ、十歳の時にはようやく編み出した無欠統合流は呆気なく拳一つで粉砕された。


 それからもあらゆる所で着いてきて俺の見せ場を毎回邪魔してくる。 旅の途中で良い感じの雰囲気になっていたお姉さんはソイツにメロメロになるわ裏で町を襲ってきた魔族を倒したら大通りではそいつが千年生きるドラゴンとやらを倒して英雄と持て囃されていた。


 俺って何だろう…。


 別に世界一になれなくても良かった。 ただ少しでも異世界で俺強えぇぇ!! ってのをしたかっただけなんだ。


 「あっ君、また一緒だね!」


 「…うん」


 でも俺は挫けない、いつか絶対俺強えぇぇ!をして見せるんだ!!


 俺は幼馴染の横で、ガルオス学園の校舎を涙を流して眺めていた。 心に強い決意を秘めながら。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る