第10話 ドラゴン少女イナサ

 レッドドラゴンと対峙した。俺達3人。レッドドラゴンは雄叫びを上げ威嚇してくる。なんかドラゴンの後ろ、金銀財宝だぞ? 倒せれば大金持ちか??


 そんなフラグみたいな事思ってると。ドラゴンは前足の大きな爪で引っ掻いてきた。日本の熊の比ではない。


 キーーン、スキルコインバニッシュ!!


「ダイキ!!」


「ダイキさん!!」


 俺はノノッチとファミに当たらないように当たりになる。最初の衝撃波でなんとかレッドドラゴンのクローは弾いた。続けて倍速倍力で距離を詰める。レッドドラゴンは俺を見失ったようだ。


「エアロトルネード!」


 女神ノノッチがすかさず撹乱の攻撃魔法を放つ。レッドドラゴンは後退り。こりゃ勝てるか? 俺は鉄腕で体が金属になりながらレッドドラゴンの腹にブローのラッシュを加える。


「アタタタタタターーーーーーーッ!!!!」


 俺はレッドドラゴンが倒れるまで殴った。体長4メートルはあろうかというレッドドラゴンは後ろにひっくり返り重い音と振動が洞窟内に広がった。砂埃が立つ。ノノッチとファミのは口を塞いだ。


「あ、いったー。まいったまいった。」


 ??。なんか女の子の声がするな?


 砂埃が収まるとドラゴンが倒れた場所らしき地割れに女性が立っていた。赤髪のロング女戦士風レザーアーマー。ん、頭に角が生えている。


「あ、アレ? 君は?」


 俺は彼女に声をかける。しかし。


「じゃ今度はこっちからいくよ。歯、食いしばれ?」


「え?」


 赤髪の少女は超弩級の速さで俺に詰め寄り右手でブロー。俺は一瞬で吹き飛ばされ、壁にめり込む。


「ふう。本気出したらこんなものか。人間弱いなあ。」


「くそ。」


「ダイキ!」


「ダイキさん!!」


 ノノッチとファミは叫ぶ。ありゃ倍速倍力じゃ無いな。瞬足だな。こりゃ勝てねえな。


 赤髪の少女は俺に近寄ってくる。トドメだろう。俺はやけになった。死ぬんなら有金全部使ってやる!! コインを3枚取り出し。初めて重ねがけを試した。


 キキーーン!! スキルコインバニッシュ×3!!


 特大の衝撃波と共に赤髪の少女は後退りしながら耐える。


「な、なんだ? こいつもっと強くなるのか?」


 俺は衝撃波と共に赤いオーラを纏い瞬足が使えるようになった。


 それからは少女との殴り合い。お互い一歩も引かなかった。しかしドラゴンは最強種。殴っても体が腫れない。フルボコなっていくのは俺の方だった。


 その日の夕方。始まりの街の食堂。俺達は4人パーティになっていた。レッドドラゴンイナサの仲間入りだ。


「人間であんなに殴り合ったの初めてだぞ!! 明日もバトルしような!!」


「明日は別のダンジョンだ。お前も仲間だから来るんだぞ?? 寝坊するなよ。」


「カッカッカッ!! 顔面腫れた。人間に言われたく無いわ。アタシも使えるのか? そのコインバニッシュ? やってみたいなあ。」


「これ以上強くなられてたまるか!! お前は女らしさ覚えろ。ダンジョン出たから人間襲おうとするな。もう俺達パーティなんだから。お前が捕まると俺らも捕まるんだよ。」


「ハッハッハッ。ダイキおもろーい。」


 ファミ。


「ダイキさん、楽しそうですね。」


 ノノッチ。


「女子というより弟分よね。」


 食堂で大いに賑わい。俺らは仲間として契りを交わした。乾杯は盛大に。みんなジュースだった。



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