第7話 始まりの街丘の上の決闘

 ギャラリーは多かった。始まりの街の丘の上。俺とノノッチと青髪のお嬢が勇者カリクと対峙していた。ギャラリーの賭けも白熱していた。ほとんど勇者カリクの勝利予想だが。


 カリク


「こないだは不意を突かれたが今度はそうはいかん。なんか良く分からないスキルだが、俺たちの敵では無い。」


「一対一では無いんだな?」


「お前らがパーティ戦選んだんだろ!」


「ああ、そうか。」


 嬢ちゃんエレンを殴りたいんだった。


 エレン


「ファミ、令嬢のあなたが戦うなんて! 怪我しますわよ?」


「エレンちゃんにいわれたくない! 私だって戦えるとこ見せたいの!!」


 なんだかなあ。女子の喧嘩は犬も食わない。俺はまあ勝つだけだ。


 ゴングが鳴った。


 魔導士ミミミが極太アトミックレーザーをぶっ放す!! それを女神ノノッチがお嬢ちゃんとマジックシールドの中で耐える。


「ダイキ! やっちゃって!!」


「おう。」


 チャリーーン!


 俺はコインを取り出すと。


 キーーン!! コインバニッシュ発動!!


 俺の体からほとばしる衝撃波でアトミックレーザーを押し返し、魔導士ミミミを吹っ飛ばす。


「何よぉーー! あいつ! 意味分かんない!」


 そして倍速倍力で勇者カリクに詰め寄り鉄腕で殴る。


「ヘプラバブラヴアーーーー!!」


 彼方に吹っ飛ぶ勇者カリク。


 一気に形成逆転。2対3になった。嬢ちゃんファミが準備する。俺のコインバニッシュは解けた。


 ????嬢ちゃん??


「エレンちゃん覚悟!!」


 嬢ちゃんはスカーフでほっかぶりを被りミトンをつけフライパンを持った。可愛いが発想がサザエさん!! 俺は頭を抱えた。


「ファミ!! 妾と戦うのは厳しいと思うので、どうじゃ? 妾がこいつに負けたらファミの罰ゲームに付き合うわよ? それでどうじゃ?」


「う、うん。」


 サウザンドソード、千の剣を持つお嬢様騎士エレンの構え。


「フィールドボックス! 展開!!」


 エレンの周りに無数の剣が浮かぶ、こいつは手強そうだ。俺もコインバニッシュの準備を。


 と思っていたら。ばしっと剣が降ってきた。


「え?」


「え? て、え?」


「おほほほほほほ!! よくぞ妾の剣を避けた!! 特注剣のソードダンス!! とくと見よ!!」


 あ、あの剣が何千も上から降ってくるんですけど?? これ、やべえんじゃ無いかな?


 きーーん、コインバニッシュ!! 発動!!


 衝撃波で初手の剣の雨を薙ぎ払う。


 無数の降ってくる剣を避けてエレンに辿り着く。エレンは金に輝く大剣を振るう。俺の鉄腕にぶつかる。大剣はそのまま遠くへ放られる。エレンコケる。


「ええーーい!! 投擲!!」


 コケながらも投擲を辞めないエレン


 長剣が俺の鉄に輝く体にぶつかる。そのまま跳ね除けられる。アレ?? これ俺が強いのか?


 策の無くなったエレンは泣き出す。


「妾が勝つんじゃ。勝つったら勝つんじゃ!! うわーーーん!」


 ファミ


「エレンちゃん!! 本性が出ましたね!! エレンちゃんは駄々っ子なのです!!」


 ファミは両手を腰に当て勝ち誇ったポーズをした。その時後ろからノノッチを押し倒してファミにナイフを突きつける者が。


 千罠を解いた女盗賊ファーレンだ!!


「はあーー。みんなねえ。はぁ。なんでいつも私がこういう立ち回りなのよ!!」


 俺はちょっと遠すぎて近寄れない。


「そこのおっさん!! 少しでも動いたらこの子刺すわよ。降参しなさい!!」


 負けるかと思った。こんな刺客があったとは。でも女は怖い。


 ファーレンの後ろで手をワナワナさせながら近寄る巨乳少女が。


「ちょっと? 私を押し倒すなんていい度胸ね。そんないけない子はこうしてやるんだから! コチョコチョコチョコチョ!!」


 女神ノノッチはファーレンをこちゃばし始めた。ファーレンはファミを抱えているから女3人のくんずほぐれつが始まる。


「コチョコチョコチョコチョ。」


「こ、こいつ! やめい! 危ないからやめい。」


「ノノッチ様!! ファミもこちょこちょします。コチョコチョコチョコチョ。」


 何が何やらナイフ危ないぞ?


 こうして勇者カリクの壮大な茶番劇は終わった。勇者カリクって結局お金で始まりの街を支配してたのね?


 勇者カリクパーティは弱かった。






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