森の魔女は平穏を謳歌する

紅咲

序章

森の奥には魔女がいる


おとぎ話に出てくるようなそんな噂が最近この田舎に流れている。

本当に魔女がいるとはだれも思ってはいない。ただ、森の奥の古民家には確かに数年前から誰かが住んでいる。住んではいるが誰もその姿を見ていない。

否、見ているはずなのに記憶に残らないのだ。

果たしてそれは人か魔女かあるいは……




 子供のころの夢とういうのは実に突拍子もなく、その実何よりも輝いて見える。

 お姫様から始まり、魔法少女になりたくて、そのうち右目がうずき始めて、本気を出せなくなる。

 気が付いた時には厨二病を患い、黒歴史を刻むのだ。

 さて、誰しもが多かれ少なかれそんな子供時代を歩みつつも次第に現実に歩み寄っていくわけだが、どうやら彼女は歩み寄りに失敗したようだ。

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