登場人物紹介②

神宮寺健人


 2004年5月5日生まれ。19歳。身長183cm。体重69.4kg。血液型O型。


 サユリと同じ高校に通っていた幼馴染で、バスケ部のエース。勉強は大の苦手だが、運動神経が抜群に良く、小学生の頃から県内のバスケットボール連盟に注目されている逸材だった。


 小学生の頃は、「名古屋ダイヤモンドシティーズ」というチームでミニバスの県大会制覇に大きく貢献し、中学では、全国大会出場の常連である名門『桜蔭学園』に入学していた。


 子供の頃からプロのバスケ選手になることを夢見ていて、部屋のポスターにはNBAのスター“RL(ロイス・ルイス)”が飾られている。


 サユリとは中学1年の頃に知り合い、ひょんなことから、公園のコートで1on1をすることに。


 当時、健人は中学でもエース級の活躍を見せていて、“桜蔭の天才”として噂されるほどの実力を校内外において轟かせていた。


 1on1では負けなし。


 上級生が相手でも、彼を止められるものはほとんどいなかった。


 そんな彼が負けた相手は、自分と同い年の、しかも女子であるサユリだった。


 彼は女子とは思えないほどに機敏な動きを見せる彼女に、驚愕した。


 あり得ないと思った。


 油断していたとは言え、相手はドリブルの仕方も知らないような素人だった。


 いや、仮に本気を出していたとしても…



 健人はその日以来、サユリに興味を抱き始める。


 サユリは事情が事情だけに、自分が「人間」ではないことを秘密にしなければならず、健人からの勝負の誘いを断り続けていた。


 健人は勝負したあの日の出来事が忘れられず、再戦しようと勝負を申込み続けるが、その願いは叶わず。


 代わりに、2人の交流はバスケを通じて深まっていった。


 

 サユリは執拗に話しかけてくる健人を遠ざけようと必死だった。


 健人は嫌がる彼女の背中を追いかけていたが、実は、それには少しだけ事情があった。


 サユリが住んでいた家には、昔から薫の母親である“勅使河原博子”が住んでいた。


 博子のことを健人は“おばあちゃん”と呼び、サユリが引っ越してくる以前から交流があったのだった。


 健人は博子にあるお願い事をされていた。


 それは、サユリの学校生活がうまくいっていないこと。


 上級生からのいじめが絶えないこと。


 健人さえ良ければ、サユリと“友達”になってほしい、——と。


 1on1を申し込んだのも、実はこのことが理由としてあった。


 ただ、まさか負けるとも思わず、博子からのお願いとは別に、彼女に興味を持つようにもなっていた。


 そんなある日だった。


 6人以上の男子グループが、河川敷の下でサユリを取り囲んでいる現場を目撃する。


 男子グループは見るからに大きく、全員が高校生だった。


 彼女が危険だと認識した彼は、乗っていた自転車を捨て、急いで彼女の元へ。


 運動神経の良い健人にとって、喧嘩も得意分野の一つだった。


 しかし多勢に無勢で、相手は高校生。


 健人に勝ち目はなく、サユリを助けられるはずもなかった。


 案の定ボコボコにされ、意識を失いかけたその時だった。


 空が霞む瞳の先で、「大丈夫?」と顔を覗き込むサユリがいた。


 周りには、さっきまで殴りかかってきていた高校生たちが、全員地面の上に倒れていて…


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