第209話
キョウカの下した判断は、決して間違いではなかった。
それはこの場にいる誰もがわかっていたことだ。
エドワードの情報を元にすれば、クリーチャー以上の魔物が侵入してくる可能性もゼロではない。
その確率が限りなくゼロに近いものだとしても、“ゼロ”ではない。
考えられる最悪のケースを想定し、講じられる対策を“最大化”していくこと。
天守閣に覆われた暴風域は、その「対策」を如実に実行した有効な一手であったと捉えることができただろう。
だから、ここにいるメンバーの誰もが、キョウカたちの行動に異を唱える者はいなかった。
しかし、深雪や真琴の頭の中にあったのは、統制の取れない状況に対する“懸念”だった。
キョウカたちの取った行動は有効かつ、十分な効力を持った選択には違いない。
ただ、だからこそその「選択」を活かせる状況に転じられるかどうかが、この場にいる者たちの共通認識だった。
キョウカにとっても、それは例外ではない。
チーム単位で連携を取ることの重要性は、彼女は痛いほどわかっている。
「効率」を重視するならば、真琴や夜月の行動も選択肢の一つに入れることがマストだった。
戦闘に感情を持ち込むことを嫌う彼女の性格を、鑑みても。
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