第205話
夜月は「ディスチャージ」と呼ばれる電磁フィールドを展開していた。
フィールド上に特殊な電磁波を張り、真琴の矢を捕捉する。
この時点ですでに両者は“リンク状態”にあった。
夜月の特性は「オートメーション」と呼ばれるもので、敵味方の魔力に関係なく、指定したある対象物に対して自動捕捉⇄回線を接続できる能力が備わっている。
捕捉した対象物とは任意で「リンク状態」と呼ばれる相互ネットワークに移行することができ、リンク状態にある対象物とは一時的な“ケーブリング“を得ることができる。
これは夏木リンがバトルフェスティバルで見せた「超電導」の特性と少しだけ性質面で似ているように見えるが、その内容は大きく異なる。
リンの「超電導」は場の魔力流域や魔力の性質に対し”全ての互換性を得ることができる”能力だが、夜月の「オートメイション」は、“ある対象物に対して強制的な相互関係(線の繋がり)を築くことができる”能力だ。
別名【蜘蛛の巣】と呼ばれ、一度捕捉した対象物に対しては、ある一定の範囲内において【細胞間レベルでの繋がり】を持たせることができる。
この特性のもっとも最たる点は、その対象物が「魔力」に縛られないという点だ。
物質であれば何にでもその“捕捉”を拡げることができ、ミクロ単位で相互間にある「微粒子=物体間のエネルギー」を操作することができる。
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