向こうの君は月明りが似合っている

unknownn-

時の分岐点

一通目 『久しぶり』

 カーテンの隙間から差し込む日の光に目が覚めた。いつもと変わらない天井に嫌気がさす。

「朝か…」

 独り言を言いながらもベットから起き上がる。時間は6時52分、俺には十分過ぎる時間だ。

 重い足取りでリビングに行く。廊下をとぼとぼと、歩きながら目を擦る。

 リビングの机に置いてある朝食をレンジに入れる。そんないつもと変わらない日常に俺は退屈だった。昨日は遅く起きていたわけでもなく早めに寝ていた。特にやる事もなく俺は昨日のことを思い出しながらもご飯を食べた。

 ご飯を食べ終えると洗面台に向かった。顔を洗い歯を磨く、そんな毎日に愚痴をこぼしながらも身支度をする。

 制服に着替えた俺はこけそうな足で玄関に向かう。

 玄関のドアを開けると太陽光が光まぶしい。漫画のような日のしのぎ方で空を見た。

「快晴か」

 それは俺に似つかない満遍な快晴だった。

「おはよー、今日は珍しく早いねー」

「なんだよ珍しくって」

「えーだっていつも朝活ぐらいに来るじゃん」

「それは夜おきてた時ぐらいだろ」

 こんな事を言うやつは唯一の女友達の朝比奈あさひな あかり、こいつは何かと能天気で常にポジティブでやけにテンションが高い、だが決して俺とあかりが付き合っている、という事でもない。両者このぐらいの好きという事なのでいつもこの距離感をたもっているわけだ。

「てか、今日の日課わかる?」

「しらね」

「はぁ~教室いったら教えるね。あ、ってか前に書いてあるからいっか」

 そんな他愛もない話をしていると正門に着いた。あかりと俺は同じクラスなので教室に着くまで話している。

「ひゅ~朝っぱらからラブラブしちゃってんね~」

「は?してないんだが?」

 俺はトーンを低くして言う。

 こんな俺たちを茶化す奴はミツキといい俺の大親友で趣味が合う唯一の友達だ。

 そんなマイメン3人が揃い席に着く。俺とミツキは席が近いので先生が来るまで趣味やらなんやら話してる。

 数分間趣味の話で盛り上がっていると先生が入ってきた。

「よし、お前ら~席つけよ~」

 先生が気だるそうに言うとみんな席に着く。ミツキは少し斜めなので話せなくはないがやめておく。

「朝の学活はじめるぞ~」

 先生の声が繊細に聞こえる、昨日は早く寝たお陰だろうか。

 ぼ~っとしながら聞いているといつの間にか朝の学活が終わっていた。

「一時間目は確か数学か、ダル」

「てか眠たくなったから寝るわ」

「は?えぐすぎ」

 まぁ怒られることもないしいっか、俺が寝ていても先生が起こる事がほとんどない。

 まぁそんな事どうでもいんだがな。

 俺が寝ているとあかりが起こしてくれた。

「早く起きないと遅刻するよ」

「あぁ、もう終わったのか?」

「もう!終わったのかじゃないよ、次体育なんだがら早くしてよね」

 もう次の授業が始まるらしい

「分かった先行っててくれ」

「早くしてよね」

俺は体操服に着替えグラウンドに行った。体育は50メートル走らしくみんな順番を待っていた。

 俺はやる事もないのでスマホを見ていた。するとこのご時世使われないメールが一通。俺は内容を見て驚きを隠せないかった。内容は、

『久しぶり』

この一言だった、宛先はもちろん俺。相手のメアドは

unknown@

だけだった。このメアドはもちろん使用不可なのだ。この文字数じゃ足りず更には数字もない。異例の事態が過ぎる

 俺はすぐさま返信をしようと思ったが、50メートル走の順番が回ってきたのか呼ばれた。スマホをポケットに入れ走った。

 このあとの授業はほとんど頭に入らずメールのことで頭がいっぱいだった。




_______________________




つまらない授業も終わり放課後、俺は決心しunknownに返信することにした。

↰▿unknown@

『お前は誰だ?』


この一文、でもそれだけで十分に感じた。

 それから数日unknownから返信が来た


To:『分からない、でも一つだけ分かることがあるそれは君と私、という事』


そんなメールが来た、訳が分からない。同じ世界じゃない?俺が困惑していると脳裏にある言葉が浮かんだ。

並行世界パラレルワールド

並行世界とはその世界から分岐し並行に存在する世界、つまりunknownはそんなあやふやな存在なのだろうか?

自分の名前も思い出せない、そんなunknownは一人寂しく思えた。

 それからというもの数週間連絡はなくいつも通りの生活をした。何も進展がないというのはこちらも困る。俺からメールをすることにした。


To:『君は俺のことを知っている?』


長文も失礼かな?と思いこの一文にした。それにしても不思議だ。並行世界越しでのメール、しかも寄りによって自分の名前がわからない、ときた

「世の中不思議なことがあるんだなぁ」

 そんな事をつぶやきながら家に着いた。下校中という事も忘れいろんな考察をしてしまった。

 家に帰るといつもの殺風景な玄関、そして廊下だった。だが入った瞬間スマホの通知が鳴った。内容はunknownから、


To:『多分、いやきっと君は私の事を知っていると思うよ』

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