ワールドグランダル/魔法の支配する世界

半目真鱈

第1章 魔人の孤島編

第1話 テルースデウス

 正に彗星の如くに現れたと表現するのが正しいと言える程に、そのゲーム会社はあっという間に有名になって、次に目を開いた瞬間にはゲーム業界のトップを走っていく程になっていった。そんな会社が出したゲームはさぞ素晴らしい物だろうと言われているが、実態はその表現すら生ぬるいと言える程にその世界は完成されていた。


【ワールドグランダル/魔法の支配する世界】


 その名で発売されたテルースデウスが現在発売している唯一のゲームでこれからのテルースデウスを形作る為の下地だと言われているが、CMやネットで調べた限りでは、第二の世界・自由度はこの世界を超える・限界などは文字通り無い・この世界の全てを君は探索仕切れない...そう言う謳い文句ばっかり見ているが、実際の所は誰にも分かっていなかった。


「そう...この日までは...ね」


 俺はこのゲームの抽選で見事に勝ち取った幸運...いや豪運の持ち主だ。まぁこんな壮大すぎる謳い文句を言われれば誰だって気になると思う人も居るだろうな。


 まぁその釣られた人間が俺なんだけどね。


「と言うか普通のVRゲームで使われてるヘルメットタイプなんだな」


 そう思いながら届いたゲーム本体を見てみるとそこには、ごく普通に売られている家庭用VRヘッドセットの様な物だが、明確に違うのは、それが通常のVRとは全く違う技術を使われていると言う事のみで、それ以外には分かっていないらしい。


「まぁただの高校生風情に未知の技術だとかのロマンは分かるが、それがどういう挙動をするのかも知らんしどうでも良いからな。」


 そう思いながら、ゲームのサービス開始時間である12時ピッタリまであと少し時間が有るからこの日の為にわざわざ家具屋まで行って、自分の金で買った高い椅子に座って少し回ってみる事にした。


 これは家庭用VRにも言える事だが、こういう機械は首に掛かる負担がかなりあるらしく、その負担を軽減するために専用の椅子などもあるのだ。


「これってかなり高いんだよな~」


 そう思いながら時間を潰しているとようやっと12時の5分前を知らせるタイマーが鳴って、俺はスイッチをオンにしてからヘッドセットを被って、それから数分も経たずに意識を手放して、そのままゲームの世界に入った。


《機械所有者<雨切怜太>を確認しました。》

《ワールドグランダル・タイプ0起動します》

《本体所有者<雨切怜太>の魔人種適性を発見...排除を開始します》

《排除不能・選択消去不可・他種族選択不可・不可不可不可不可不可……》



《ワールドグランダルを起動します。どうぞお楽しみください》



「ここは...確かヘッドセットを被ってから直ぐに意識が...」


 俺は目が覚めたが見知らぬ場所にいた。そこには感覚的には何を言っているのか分からないと思うが、上も下も右も左も全くと言って良いほど無く今自分が経っているのか、座っているのかも分からずにただそこに在るだけの存在と化しているのを自覚した時にその声は響いた。


「あぁ全く嘆かわしい...まさか異界の者からもうあらゆる世界で存在の欠片も無い筈の魔人の因子を持つものが居ようとは...全く嘆かわしい」


 そうして唯々嘆いているとしか表現できないそれは形を伴わない唯の光の集合体と表現するのが最も適当な姿で現れた。と言うか...


「...魔人?異界?何の話をしている俺は確かゲームを起動させて...」


「あぁそうだお前は大罪を犯した。だがお前はプレイヤーだ私が案内しないと言う選択肢は初めからない故に始めよう貴様の創造を...」


 そうして出てきたのは、18歳かどうかと言うあれ系のあれには良くある物だが、まさかここで見るとは思わなかった。


「おいこの18歳の奴どうなるんだ?」


「あぁ初めの場所か...そこなら幾つかの要素の可否それと、一部スキルの仕様変更などがあるなまぁ一般的に言えば解体と言うスキルが有るが、OFFだった場合は、解体ナイフと呼ばれるアイテムを手に持っていたら、耐久力を消費して自動で解体するが、ONだった場合は、それにも一回一回本当に解体せにゃならんそれに加えて、グロ描写もあるからなこればっかりはお前が考えてる様な事は出来んそれで年齢は幾つだ?」


「それは...」


「言っておくが私に嘘は通じん私は今(・)のお前の全てを認識している無論お前の年齢もだ」


 まぁ俺はこういうのだったら適当に誤魔化せるだろうとは考えていたがまさかそれに対して、カウンターを決めてくるとは思わなかった。と言うか今普通に会話しているよな...。


「正に第二の現実だな...それと俺の年齢は本当に18で嘘は無い」


「そのようだな。それじゃあ次の創造に入れ次はゲーム内設定を決めろ」


「了解了解」と返事をしながら取り合えず見てみるが結構な数が有った。それもグロ描写は入れますかだとか、PVP要素はONにしますか?とか痛覚設定とかの物ばかりで、取り合えず全てを読み込んで。キチンと回答を済ませた。


そしてこれまでは所詮は前座次からがプレイヤー作成の本番と言える。先ずはプレイヤーネームの決定と言うこれからその世界に降り立つ為に必要な儀式だった。


「あぁ名とは力を持つ無論貴様の世界でもそれはあるだろう?故にこの世界ではそれ以上の力を持つことになるよく考える事だな」


そう光る玉は煽るかの如くに言い残したが、結構重要な事を言っていた気がする。それは名はこの世界に置いてかなり重要な力を持っていると言う事で、適当に決めようと言う考えは直ぐに無くなった。


それから20分位真面目に考えて、シリウス・ティンジェル・ナインバックルと言う無駄に凝った名前にすることに決めて、その後は見た目の製作をすることにした。それから出てきたパーツは数千種類にまで及んで、真面目に作ろうとすると幾ら時間が在っても足りそうにない程の種類があった。


「それならばランダム生成をしてみるか?貴様の根源に応じた姿を制作する故貴様もさぞ動かしやすい事だろうよ」


ランダム生成?と言うか肉体が違う事で動かしにくいとかあるのか?まぁ良いが、ウ~ン自分でも頑張ってみたい気持ちがあるには有るが、とても面倒くさそうな予感しかしなくなっていた。


「だったらランダム生成を使って見る事にしようかね」


「そうかならば貴様にピッタリの肉体を生成してやろう」


ここで俺は気が付いた。あっ失敗したなと目の前は唯の光る玉ゆえに何も感情の機微は感じられないが、それでも心底悪そうな感情を理解させられた。と言うか最初に嘆かわしいとか貴様とか言ってる奴が提案する事を真に受けるんじゃなかったなとか思いながらランダム生成が終わるのを待っていると、そこには別の意味でビックリする姿があった。


そこには、俺の性癖である白髪ロングにその上高身長そして顔の造形はカッコいいよりの美しいと言う感じで、手足もスラっと伸びていてハッキリ言ってドチャクソ性癖にクリーンヒットした。


「まぁ良いな、男でプレイするより楽しそうだしな」


とか自分の中にある「これってネカマだよなぁ」とか「いや性癖に合ってるからと言って自分がなるのは違うよな」とかの思いを強引に無視してその姿でプレイするべく決める事にする。


「じゃぁそれで」


「そうかそれならばさっさと次の種族選択に移るが良い」


そう言われた途端に俺の目の前に画面が出てきて、その中には多種多様の種族があった。


あとがき

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