第9話・ケンさんの教え

コーチになった友人以外に、

もう一人お世話になった人がいた。

ケンさん(仮)と呼ばれていた男性。

初老くらいの男性で、着物を好む人の会のイベントで知り合った。


知り合って2年ほどしか連絡を取り合っていなかったが

彼の人生観も、僕に大きな影響を与えた。


これは男の友情というやつか??


僕の友人には変わった人が多く、このケンさんもまた「覚者」である。


「心の声に従う」といって素朴であるが、とても力強い、

そんな生き様を、年のいくばくか離れた若造の

当時の僕に教えてくれた。


今は距離が遠く離れてしまったが、心の声に従う大切さは

当時しゃにむに起業塾の課題を頑張っていた僕に

自分のペースでじっくりものを積み上げていくことがギフトだった。


「心の声に従う」を体現した彼もまた元気だろうか??

って、聞くまでもないだろうな。


東京に住んでいた頃、大通りを通るよりも

わざわざ遠回りしながら人通りの少ない道を

ケンさんと一緒に歩ってた時が楽しかった。


それが本質を見るってことなのかもしれない。


まさかアテのない旅をしようなんて思いもよらなかったわ。

いいや、そもそも人生なんて最初からアテのない旅だがな。


今でも彼と旅をした時は覚えている。

わざわざ遠回りして歩いて、足腰が痛くなったのを覚えている。


ブラック企業に入ってしまった時は慰めが欲しく、泣きついたこともあった。


そんな時に「自分の心の声に従うことが大事」とよくいっていた。


その当時の僕には、「それができたら苦労しない」


「自分を生きる」ということをやりたいようでいて

実はずっと拒んでいたのだったー。

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