達人脱獄冒険譚
starmaster_shim
第1話・湧き出る叛意
僕は今勤めるIT会社の安月給に頭を悩ませていた。
そのためか、会社を辞めた元同僚からは
「今の会社を辞めて、より良い条件の会社に転職すること」を勧められていた。
僕をよく知るその元同僚に言わせれば
「今のあなたの力量であれば、今の会社にいるより転職した方がより金額をもらえる」
ということだからだ。
要するに元同僚から見た僕は
「力量に見合わない、安い金額で今の会社にこき使われている」
というふうに映っていたのである。
そう言われた当時の僕は会社を辞める度胸もなかったが
僕自身も今の会社にいることに対し、限界を感じていた。
心を殺しながら働いている現状に、少なからず違和感を感じていた。
いい得て会社、社会においては「普通」な自分でいなければ
生きていけないことに対して嫌気がさしていたというべきか。
僕自身、自分が「変」であることを罪悪感を持って生き続けてきた。
他の人に迎合しない人生ばかりで
「普通」でないのは誰が見ても明らかなのだが
「普通」になりきれない、そんな自分が許せなかった。
「普通」に迎合できないことに無力さを感じてきたが
だからと言って「普通」に迎合すると
それはそれで、煮え切らない思いを抱えることになった。
それゆえに他者からのアドバイスが
なかなかどうして、きついものでしかなかった。
そんな中で、僕にしてみれば
自分の意思を持って生きる人たちがとても輝かしく見えた。
だからこそ「普通」から外れた元同僚たちと分かり合えたんだろうし、
彼らと触れ合うことで自らの存在意義を見出せたことが、
自分の生きる意味が改めて見出せたんだろうと思う。
彼らとやりとりした戦歴については誇りに思う。
「普通」というのはどこか僕にとって的外れに感じた。
僕は会社の人間に退職したい意思を悟られないよう、
水面下で退職のために、転職の道を探ることにしたー。
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