第三話 細心ちゃんと不敵くん
或る日の熄むことを知らぬような雨の放課後に、三々五々、教室の片隅に生徒が幾人か陣取って、チマチマとお喋りに興じていました。女子は不細工の翳口を敲いていました。
不敵くんは宿題をしていました。
「まぁまぁ難問だなぁ」
「そう?」
と、居残っている女子の一人が、いいました。
不敵くんは、宿題の問題文を眼を通します。
「それは、果たして、魂とは、こころのことでしょうか。その異いは、同一性と見なされながらも、その実態は、現代の知的階級でもはっきりとしていない。では、魂は、生まれたときから、肉体に附随する心臓に宿る精神に作用する心的な魂魄でしょうか。答えなさい」
不敵くんは、解答欄に、
「問題文の説明が不十分です」
と、書きました。
不敵くんは、窓辺から外戸の景色を茫漠と眺めていました。
「世界は、瀕死の危機に晒されている。世界の人々が、死の匂を嗅いでいる」
日本は、平和な神話だと知られている。日本は、平和上には、数多ある怪物が、この世の矩を越えて、蔓延っている。
女子たちが、歓声を上げている。
不敵くんは、その笑い声が、癪に障った。と、同時に、腹の底から、いかりが、沸々と湧いて、切なさが、充ち満ちて、悲しみが夜を切なくさせました。真夜中 is midnitht.
「傘を忘れ、頸をギリギリと、匙った」
「真夜中に? それは不幸だな」
不敵くんは、さらさらと帰りました。
不敵くんは、何時も傍に居て、正気を更に喪いつつも、女子の嗤い声を、のんびりと快晴に、さらさらと脳に神経を震撼させ、哀しみが、脳髄を、戦慄させた。
「花を千切る」
「何を…」
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