33
気づいた時、私の足元には椅子や机が倒れていた。
荒く吐き出す息が喉を震わせる。胸に痛みを覚えながら、ぼやけていた視界が少しずつ輪郭を取り戻していく。
――ここは、
肩で息をしながら、周囲を伺う。
団子になって並べられていた机や椅子があちこちへ飛び散っていたが、かろうじてガラスは割れていない。そして誰もこの騒動に気づいてない。ここに居るのは、私だけだ。
足元に机の中身が散乱している。誰かが置いていった教科書や勉強道具。それに、カセットプレーヤー。口を開けたまま転がり、そこからカセットが1つ、無防備に飛び出していた。
――そうだ。朝、ここに荷物を置いて出たんだった。
いつもの屋上の風景に、息がつまる。
――それでいい。これを、忘れちゃいけないんだ。
床に散らばった勉強道具を端にまとめる。机を正し、椅子を添え、鞄の中身を並べる。
無様に、ぶちまけられちゃいけない。
〈パンドラの箱〉は、こんなふうに、片付けることなんてできないんだから――。
全てを鞄にしまって、さっきと同じように机の上に置き去りにする。
私にとって今、やるべきこと――蓋に掛けられた手を振り解くこと。
そのために何をすべきか。
自問自答を繰り返しながら、私は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます