詩『波打ち際』

くずき憂人

『波打ち際』

胎動。


僕たちは大いなる海から産まれた。


ドクン…ドクン…

生命の息吹が波となって押し寄せる。


何千、何万、何億と、

幾重に絡み合ったDNAが

僕を、僕たちという存在を作る。


それはまさに精巧なプログラム。


愛の中で生まれ、

人の温もりを知って、

様々な感情が心に芽生える。


焦がれ、惹かれ、欲することも

最初から全てが仕組まれていたかのように。


この気持ちが、

最初から持つべくして持ったものなら、

別にそれでもいいよ。


でも、もしそれがそうじゃないなら…、

いや、それでも別に大差ないじゃないか。


理由や意味の有無なんて、

大きな海の中では小さなことなんだから。


それでも海の音は、

心に安寧を与えるよ。


ドクン…ドクン…

水平線の果ては、まだ見えない。

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詩『波打ち際』 くずき憂人 @kuzuki_yuto

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