ちいさなせかい

秋風があの頃を連れて。

ランドセル 教科書とノート

背負った時の感覚

あの頃には大きすぎた

歩く度に揺れるキーホルダー

冷たい朝の空気に目覚めて

砂利の感触が足に響く

いつもの場所であの子が待っている

キーンコーンカーンコーン

変わらない鐘の音

ミニチュアみたいな机と椅子

お道具箱の宝物たち

憧れたシャープペン 使い古した鉛筆

休み時間はドッジボールの声と他愛のない話

給食のここあげパンは幸せの象徴

掃除はお決まりのクラシック音楽

放課後 ほんとうの自由

暗くなるまで

時間を忘れて

時計も携帯もいらない

あの頃の私たちに時間なんてないから

ばいばい また明日って

当たり前に明日がくること

明るい未来が待っていることを疑わない日々

純粋すぎた眩しい一瞬

全てだった

あの小さな世界が

私にとっては全てだったんだ…全てだった。

知らないから

大人は大して偉くないということを

知らないから

こんなに世界が大きいことを

知らないから

真面目なだけでは生きていけないということを

知らないから

自分が弱くて壊れやすいことを

知らないから、私は何も…

あの頃の私は…