第32話 最後の銃声

 宇都宮郊外の貧しい公営団地『ラベンダー』で若者たちによる暴動が起こった。住人で移民の若者、沼田が警官に暴行され、重傷で入院したためで、鎮圧にあたった警官の一人が拳銃を紛失した。


 翌朝、騒ぎの収まった団地内で麻薬を吸う不良仲間の根来、野崎、葉山の3人組。若者たちがたむろする団地の屋上に上がると、木村署長や龍造寺たちが立ち入り禁止だと排除に来た。野次を飛ばす根来。警官の銃を拾ったのは、実は根来だった。実際には銃に触れるのも初めてだったが、暴動のきっかけである友人の沼田が死んだら、報復に警官を殺すと息巻く根来。家族思いの葉山は、荒れた団地から出ることを真剣に考えていた。


 沼田の兄が警察署に向けて発砲し、駆けつけた葉山たちも逮捕されかけた。警官に銃を向ける根来をなんとか制して、野崎と3人で上野行きの列車に乗り込む葉山。宇都宮の知り合いから金を回収しようとして騒ぎを起こし、通報されて逮捕される葉山と野崎。銃を持っている根来は逃げおおせたが、葉山たちは警察署で暴行を受け拘留された。


 宇都宮の不良たちと合流する根来。宇都宮の不良は些細なトラブルでも銃を撃ち、根来を驚かせた。釈放されたが終電を逃す葉山と野崎。根来も加わり車を盗んで帰ろうとするが慣れない作業で失敗。駅で始発を待っていると、沼田死亡のニュース映像が流れた。


 不良たちとトラブルになり、銃を向ける根来。わざと「撃て!」と挑発する葉山。根来には撃てなかった。始発で団地の最寄り駅に戻り、別れ際に葉山を信頼して拳銃を預ける根来。そんな丸腰の根来を捕まえて「屋上にいたな!」と銃を突きつける城島刑事。その銃が暴発して根来は即死した。葉山が刑事に銃を向ける姿を目撃する野崎。最後の銃声が誰の銃のものかは分からなかった。

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