第26話 宇都宮の死神
穏やかな性格で争いごとを好まない東武署の城島は宇都宮で妻と娘と一緒に暮らしていた。娘の大学進学も決まり幸せな毎日を過ごしていたが、ある夜、彼が不在の時に自宅へ押し入った3人組の強盗に妻は殺害され、娘は意識不明の重体になってしまう。
城島は妻の葬儀のため小山市にある妻の実家を訪れる。葬儀からの帰り道、農場に侵入した密猟者に気付いた義父は車に積んでいた銃を持ち出し、威嚇射撃をして彼らを追い払う。義父は「警察が来るのは事件が起こった後で手遅れだ。大事な物を守るには自分で行動するしかない」と城島に話す。
宇都宮に戻った城島が捜査の進捗を調べるために警察署を訪れると、壁一面に貼られた未解決事件リストの数に驚愕する。刑事との会話で殺人事件に対する市民の無力さを痛感した帰り道、城島は男に絡まれる女性を助けようとして暴行されてしまう。
ある日、警察病院に運び込まれた患者に処置をしようとした城島(医師免許も持つ)の足元に患者が持っていた拳銃が落ちてきた。城島はそれをこっそり持ち帰ると自在に扱えるよう訓練を始める。
娘の容態が日に日に心配になっていく中、夜の自警活動を始めた城島は女性を助けるために暴漢を拳銃で撃ち、明確な意思を持って殺害する。その様子を撮影した動画がネットに公開されると、世間は城島を「宇都宮の死神」と呼ぶようになる。続けて城島が麻薬の売人を殺害すると、世間ではその是非を巡って論争が起き始めたが、肯定的な意見が多数だった。
間もなくして、城島は重体で運び込まれた男が盗まれた自分の時計を着けていることに気付き、持っていた携帯電話から盗品を転売する店の情報を得る。盗品の奪回を図る中で店にやってきた強盗犯の1人を殺害し、その男から聞き出した情報でもう1人の殺害にも成功する。
翌日、城島の元に強盗犯の最後の1人、今川から呼び出しの電話がかかってくる。指定されたナイトクラブで銃撃戦になり、城島はその場から逃走したが、今川は警察病院に運び込まれる。
夜中になって娘の意識が戻ったことを知らされ病院に駆けつけた城島は、弟の説得もあって自警活動から手を引くことを決意する。しかし、娘が退院する日に今川が現れていずれ襲撃するつもりでいることを告げられる。
数日後、城島の家を今川とその仲間が襲撃する。娘を安全な場所に隠した城島は、正規入手した銃で今川達を迎撃し全滅させる。
しかしそれからしばらくして、街で騒ぎを起こす不良に対して、指鉄砲を突きつけて不気味に笑う城島の姿があった。
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