第25話 イギリスから来た男
その日、宇都宮には激しい雨が降っていた。キッチンで料理をし、夫と子供達の帰りを待つ母親。家に駆け込んでくる夫と二人の子供を迎える彼女は、家を覗き込んでいるレインコート姿の男の存在には気付かなかった。ややして鳴った玄関ベルに、スコープを覗き込む夫。次の瞬間、ドアの向こうから撃ち込まれた銃弾が彼の頭部を砕き、続いて撃ち込まれた弾が彼の身体を弾き飛ばす。これが惨劇の始まりだった……。
数日後、宇都宮にやってきた一人の男、ポール。イギリスでオーナーシェフとしてレストランを営む彼は、ただ一人奇跡のように生き残った母親、アイリーンの父だった。病院で、声を出すこともできないアイリーンと、文字を指差すことで会話するポール。ろくに身動きもできなくなったアイリーンが父に望んだのは、夫と子供達の復讐だったポールは三人の殺し屋を雇い、犯人を捜し始める。ポール自身もまた、かつては凄腕の殺し屋として名を馳せていた身だった。だが、かつて頭部に受け摘出できなかった一発の弾丸が、彼の記憶を徐々に蝕む。復讐の過程で彼は、殺されたのが誰なのかも、自分が誰を殺そうとして誰と手を組んでいるのかすらも忘れ去っていく……。
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