悪役?敵?いえ、これは絶対的に主人公は魔王側です!

いなずま。

プロローグ 手紙

拝啓、勇者様へ―――


来ないでください。


             魔王城の者より



「は?」


勇者事務所に届く、ファンレターを見ていた勇者候補(剣士)のケントは間抜けな声を上げた。


「何見てるのよ」


そういって紙を取り上げたのは勇者候補(魔法使い)のミサ。


「はぁあああ⁉何よこれ⁉ぶっ殺してやる」


血の気が多い彼女は……危険だ。


「何見てるんですか?」


そう天使の声を上げたのは勇者候補(回復士)のアイシャ(ロリ)である。

手紙をアイシャが見ると。


「うっ、うっ」


泣きそうだ。


「くだらん」


目しか見えない重武装の鎧を、人前で一度も外さない勇者候補(剣士サブ)のモートンである。

今日も相変わらず威厳たっぷり。




そして、そんな手紙を書いたのは忠実に魔王様に使える私・井上六花いのうえりっか

こんなことでは魔王討伐は止まらないか。

そして、なぜ私がこんなことをしているか?

それは、だいぶ遡らなければいけない。

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