第5話 防具屋のおじさん

 第二階層。そこは森の中だった。森の中と言っても、街は切り開かれているし、明るい。建造物が自然っぽいっていうだけ。さっき見かけたツリーハウスが可愛かった。


壊れた防具を買い直すため防具屋さんへ向かった。出迎えてくれたのはCPU、ではなくて筋肉ムキムキのおじさんだった。プレイヤーだ。


回れ右して帰りたかったけど、ここにしか防具屋さんはないから、恐る恐る近づく。


「おう、いらっしゃい。」


それに気づいたらしくおじさんは気さくに話しかけてきた。怖い人ではなさそう?


「えっと、防具を買いに来たんですけど、テイマーにいいやつありますか? 」


「嬢ちゃん、テイマーなのかい。よく見ればいい武器持っているじゃないか。」


そう言って私の持っていたおじさんに貰った鞭を指差す。


「これいい武器なんですか? 」


「おうよ。それは第五階層で手に入る鞭だ。テイマー用の武器じゃ二番目くらいに強い武器だな。まぁ、テイムできなくなるって言う弱点はあるが、上手く使えば問題ないからな。」


初耳だった。どおりでテイムできない訳だ。おじさん曰く、武器を選択したら詳細が見えるらしい。見ると確かに書いてあった。あと、攻撃がクリティカル(赤文字のやつらしい)依存だからラックを上げればいいみたい。テイムしたかったら、倒す前に持ち替えるといいみたい。


「それで、防具だったか。」


「はい! 」


そうそう、防具を買いに来たんだった。


「ちょっと待ってろよ。いい感じのやつ持ってきてやるからな。」


そう言って奥へ戻って行ったおじさんは服とかズボンとかを持ってきた。ユニシロとかで売ってそうなやつだ。


「嬢ちゃんの場合、変に防御力つけるよりラックを伸ばした方がいいと思ったから、速度とラックの伸びる防具にしたんだが……どうだ? 」


性能面は別におすすめでいいんだけど、見た目がちょっとね。なんて思っていると、


「見た目は隣の服屋でいくらでも変えられるからな。」


と教えてくれた。顔に出てたみたいだ。


「全部で3万Gになるけど、払えそうか? 」


えっと、手持ちが5万ちょっとだから、払える!


「はい! 」


「おっし! ちょうど3万受け取った。あとこれはおまけだ。持ってけ。」


そう言って、リングを手渡される。


「これは? 」


「これはな、根性っていうスキルが付与されているアイテムでな、詳しくは説明を読んでもらえればわかるが、ラックが高ければHP1で生き残れるってやつだ。ラック上げている人がほとんど居ないから売れないし、嬢ちゃんなら上手く使ってくれそうだからな。」


「ありがとうございます! 」


「おう、それじゃ気をつけてな。」


「はい! 」


好意に甘えて受け取り、隣の服屋さんまで向かった。






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