彼女と勘違いして双子の妹に手を出してしまった。
もんすたー
第1話 偶然
「あれ」
休日の昼下がり、特に予定はなかったがふらりと外に出た俺、菊池凛久(きくちりく)は一人の女子の前で立ち止まる。
「え? あ……」
ポカンとした表情で俺の顔をまじまじと見る女子。錦木恋(にしぎこい)。
俺の彼女であった。
艶のある黒髪ロングは横で結ばれており、パッチリとした目に小さい顔の美形。
黒のニットから少し盛り上がる胸元。
人当たりもよく、俺達が通う高校での人気も高い。
俺の自慢の彼女だ。
「おぉ、偶然だな」
手を振りながら、恋の元へ小走りで向かう。
「いや、別に……ただ歩いてただけだけど」
「ん? どうかしたか?」
「別に、なにもないけど」
頬を赤らめて少しよそよそしい恋。
「何恥ずかしがってんだよ~、服の系統変えたからか?」
黒のレザースカートに黒ニットと、普段パステルカラーのフリフリとしたものとは違い、今日はカッコイイ系統の服を着ていた。
いつもとは違う服を着ているのを見られるのが恥ずかしいのであろうか。
「そんな事ないけど……」
俺の顔をチラチラと見ながら、口をすぼめる恋。
「まぁ、せっかく会った事だしどっか行かない?」
「え、うん……でもどこ行くの?」
「そうだな~」
と、俺は辺りを見渡す。
今いる駅前からだったらショッピングモールだったり映画館だったりが近いが……ここは駅前のラブホテル街。
彼女が目の前にいて、ラブホテルが真横にある。
もちろん、ラブホに行く以外俺には選択肢はなかった。
それに今日は休日。明日も休み。
最悪お泊りも可能だ。翌日に響くこともない。
この最高の状況で行かないわけがないのだ。
「ならさ、ホテル行かない?」
横にあるラブホを指差しながら言う俺。
「ほ、ホテル⁉」
その指先を見た恋は、目を真ん丸にしながら赤面する。
「あれ、ダメだった?」
「ダメじゃないけど……」
「なら……いい?」
「う、うん」
恥ずかしがりながらも承諾する恋。
いつもだったらデートの帰りに流れで入る時にここまで恥ずかしがることはないけど、今日はなんか様子がおかしい。
やはり服装のことだろうか。俺は別に恋が何を着ようが似合ってて好きなんだけど。
あとは、単純に偶然会ってそのまんまホテルは誰でも恥ずかしがるものか。
「じゃ、入ろっか」
「……うん」
俺と恋は手を繋ぎながら、ホテルの自動ドアをくぐるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます