再発に寄せて

真堂 美木 (しんどう みき)

第1話 再発へ嘆く怒りの奥底に 欲する言葉その身にありて

再発へ 嘆く怒りの 奥底に 欲する言葉 その身にありて


看護師として出会ったある患者さん。

再発に「なんで、また……」と、怒気を滲ませ私を見た。

彼女に必要な言葉、噯語あいごを探していると、

「前に乗り越えたと思ったのに」と、ご本人の小さい声。

「前も乗り越えられたんですね」と、彼女の言葉を繰り返した。

彼女の眼差しと声色が前を向いた。

病室の窓の向こうの夕日が彼女の背を照らしているように見えた。

彼女が必要としている言葉は、彼女の中に既に存在していた。


※エッセイの「アラ還(もと)ナースの独り言」の第2話を短歌に込めてみました。

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