強いのは僕じゃなく武防具なんです!?
しょうわな人
第1話 転生した!
誰かに看取られる事なく、自宅にて突然死する。
家族は居らず、彼女も居らず、遺体発見まで一週間を要した。幸いなことに冬場で、更に例年になく冷えた年だった為に腐敗もそれほどしていなかったそうだ。
こうして一人の人生が静かに終わりを告げた……
めでたしめでたし……
「っじゃっなーいっ!! どういう事だ? 何で僕は死んだんだ? 健康診断でも全ての項目でAだったし、死ぬ要因なんて何も無かったのにっ!! はいっ、そこ! そこで僕に土下座してる
と、僕、神木啓一は
「はい〜、誠に申しわけございませんです〜、はい〜…… 全ては私の不徳のいたすところでございます、はい〜…… 」
「説明になってないっ!!」
「ひゃいっ!? すみませんっ!! 実はですね、神木啓一さん、貴方が亡くなったのは私の所為のようなそうでもないような…… 偶然が重なった結果によりましてですね…… 貴方のご自宅の上を通って逃げておりました悪しき者がおりましてですね、その者を拘束する為に神の
僕の怒りは頂点に達した。
「いやいやいやいや!! 全て貴女の所為ですよねっ!! なんですか、生きてない物質を通り抜けるって! 何で生きてる物質も通り抜ける様にしとかなかったんですか!! で、僕は神の雷に直撃されて死んでしまったと! しかも、話を聞く限り神の手によってですよねっ!? どう落とし前をつけて下さるんですかねっ!?」
僕の怒声に土下座したまま震える女神様が顔をあげた。
クソッ!! もろ好みの顔じゃないかっ!! その顔を見たらあまり強く言えないぞっ! 男ってこういう所があるんだよな……
そう思ってたらその震える女神の横にイケメンが現れた。
『はい、神木くんそこまで。いや〜、ホントごめんネ。私の部下が大きな失敗をしちゃって。それでね、部下の責任は上司である僕の責任でもあるから、落とし前だよね? 君を地球ではない別の世界になら転生させる事が出来るんだ。それでどうかな?』
イケメンは女神の横で軽い調子でそう僕に言ってきた。そして続けて
『転生するにあたって言葉は理解出来るようにするよ。読み書きも勿論だけど出来るようにする。それと地球ではみんなが欲しいと思ってる収納能力も付けて上げよう。だけど身体能力なんかは現地人と同じだからね。俺ツエーは無いから。だけど事情が事情なので武器防具は鍛冶の神に作らせるよ。希望を言いに行ってね。って所が私たち神ができる落とし前なんだけど、これで何とか納得してくれないかな?』
イケメン神様がそう言ってきたが、転生か……
このまま地球の輪廻転生の輪に戻されると記憶も無く次の世に行く事になるが、今回のこの神様の転生ならば神木啓一としての記憶を持ったまま転生させてくれる事も補足として聞いた僕は……
鍛冶の神様の元に向かっていた。そう、神様の落とし前を受け入れたのだ。ちなみに今回の転生は赤ん坊からではなく、神様の用意してくれる肉体(年齢十二歳)に転生するそうだ。
転生する星の名はマーズ。火星じゃんと思ったが違うらしい。そりゃそうか。
三つの大陸と大小様々な島がある星で転生先は通称アレス大陸のどこの国のものでも無い森の中らしい。
アレス大陸には四つの国があり、先ほどのイケメン神様を信仰する王国、【ドルガ】。僕を死なせた女神様を信仰する聖王国【サーラ】。これから行く鍛冶の神様を信仰する職人国【テッカ】。そして商業の神様を信仰する商人国【ランナ】。
これら四つの国が協定により領土としないと決めた大森林【ヨクヤ】に僕は転生する訳だけど、森の中は資源の宝庫で、人が一人も住んでない訳じゃないらしい。
隠者の村と呼ばれる国に属さない人たちが暮らす村があるそうなのだが、転生したら先ずはそこに行けば良いとイケメン神様が言っていた。
『ほら、やっぱり人は人と関わって生きてく方が良いからね。なーに、ちゃんと隠者の村からそんなに離れてない場所に転生させるから。魔獣もちょこっとは居るけど、そこは鍛冶の神に言って強い武器や防具を作ってもらえば大丈夫だと思うよ』
なんて軽く言ってのけたのにはちょっと腹が立ったな。
なにせ僕は死ぬまでの間に自ら殺した事があるのは蚊ぐらいだ。生き物を殺すという事には抵抗があるんだから……
そんな僕の内心を読んだイケメン神様が更に言う。
『あっ、ダイジョブだよ。転生する肉体には自分を殺そうと向かってくる者への対処を本能で出きるようにしてあるし、その際に殺してしまっても罪悪感を覚えないように精神的に強くしてあるからね』
う〜ん…… 僕自身の記憶を持ったままなのに本当にそんな事が可能なんだろうかとは思ったけど神様が言うのだからとその場では納得しておいた。
で、今の僕の目の前には大きな、とても大きな神様が居る。
『で、どんな武器や防具を望むんだ?』
身長推定五メートル。
『こりゃまた難儀な事を…… ワシが鍛冶の神だと知って木の武器を望むか…… いや、あるな。分かった、ちょっと待て』
待つこと三十分。
『出来たぞ、これが木刀だ。銘は【
言われて着け方を教わりながら鎧を装備してみたら本当に軽い。Tシャツを着てるぐらいの重さしかない。
「有り難うございます。これなら何とかなりそうです」
『いんや、サラのヤツの失敗の償いだからな。気にするな。武器も防具も自己修復機能に自動調整機能があるからな。無いとは思うがどうしようも無いほど壊れた時は職人国の教会に行って祈れ。ワシが何とかしてやろう』
「はい、分かりました!」
こうして、僕は異世界の星マーズへと転生したんだ。
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