第20話 緊急事態ー九州の炎

夜が更け、静寂の中で九州の土地は紅く燃え上がっていた。朝鮮軍の進軍は予期せぬ速さで、猛威を振るいながら土地を蹂躙していた。農村は火の海と化し、農民たちは絶望の中で命を散らしていた。戦の火は人々の絶望を照らし出し、絶望の中で暮れていく日々。九州は炎に包まれ、灰と化す寸前の状態だった。


彦根城の隠れ家では、如庵と斗升が同盟の手筈を練っていた。月明かりが部屋をぼんやりと照らす中で、布陣の提案を交わしていた。そのとき、一人の忍者が影のように部屋に滑り込んだ。忍者の顔には、見慣れない緊迫感が浮かんでいた。


「申し訳ありません、如庵様、斗升様。緊急の報告が…」忍者の言葉は断片的で、息も切れ切れだった。


斗升は立ち上がり、声を荒げた。「何事だ、この時間に報告とは?」


忍者は表情を暗くし、さらに緊張を緒にして言った。「朝鮮軍が…九州に上陸し、火を放ち…」報告はそこで途切れ、部屋には沈黙が満ちた。


如庵はショックを受けながらも、すぐに冷静を取り戻した。「いつからだ、この侵攻は?」


「夕刻より前です。すでに九州は戦火に包まれ、民は逃げ惑っています。」


斗升の眼には怒りの炎が灯った。「何ということだ…」声は憤りに満ちていた。


如庵は立ち上がり、外を見た。「同盟の準備はこれからだ。斗升、急がねばならない。九州の民を守るためにも、日本の未来のためにも。」


斗升は頷いた。「我々の同盟は政略以上だ。如庵、各々の主に報告し、行動を起こさねば。」


「時間は味方ではない。九州を取り戻し、侵攻に対処する。」如庵の決意は強固だった。


二人は隠れ家を後にし、急ぎ足で去った。この夜、彦根城下で緊急の動きが加速し、朝日が昇る頃には、新たな暴風雨の兆しが明らかになっていた。

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