第17話 対峙する未来
如庵は小田原の陣営の一角で斗升と対面した。斗升の目には、過去とは異なる歴史に立ち会った者特有の深い輝きが宿っていた。彼らは、今ここにいること自体が時代を越えた奇跡だった。
「斗升、お前もか…」如庵の声には驚きとともに、深い懐かしさが滲んでいた。
斗升は苦笑いを浮かべながら、軍師としての凛とした様子を見せた。「ああ、俺も未来から来た。お前とは違うルートでな」
二人の間には、令和時代の友情と、戦国時代の敵味方という複雑な立場が交錯していた。如庵は、斗升の側にいることが、伊達政宗の軍を強化し、現在の状況を生み出したことを理解していた。
「伊達政宗に未来の知識を提供したのはお前か?」如庵の問いに、斗升は軽く頷いた。
「時代を変えるためには、強力な影響力が必要だった。政宗はその器だった」斗升の声には、彼なりの信念が込められていた。
「でも、このままでは日本はまた戦火に包まれる。私たちが未来を知っている以上、それを阻止しなければならない」如庵は斗升の目を真剣に見つめた。
斗升は深く息を吸い、言葉を選ぶようにゆっくりと口を開いた。「未来を知る私たちの役割は、ただ一つ。日本を最良の方向へ導くことだ。そのためには、時には厳しい選択を迫られる」
その言葉に、如庵は一瞬の沈黙を保った。彼は斗升の言う「最良の方向」とは何なのか、深く考え込んでいた。その答えは、簡単には出ない。
二人の再会は、未来を知る者同士の、重い運命の交錯を象徴していた。日本の未来を巡る、大きな転換点が近づいている。彼らの選択が、歴史の流れをどのように変えていくのか。
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