変わった家

北欧りんご

第1話

薄暗がりの6畳間。

ここはどこ?

辺りを見回すと、ボロボロの窓に電気のついていない部屋。

風が吹くと窓がカタカタ。

いったいどこに迷い込んでしまったのか。


しばらくするとコンビニ袋を持った男が部屋にやってきた。

どうやら一晩一緒に泊まるらしい。


話を聞いてみると、今私たちは新居を探しているところで、お試しキャンペーンで一泊泊まるということだった。


それにしても、いつできたアパートなのか、築40、いや5、60年は経っているだろう。


部屋は3階。角部屋で、なぜかドアの他にゲートがある。


お風呂場、キッチン、お手洗い、すべて揃っているが古びた感じは否めない。


しばらくすると、誰かが訪ねてきた。

『あなたたち、こんなアパートによく引っ越してきたわね。』

私たちに気づき、挨拶をしに来てくれたらしい。

『こんなアパートってどういう意味ですか?』

『ここはね、変わったアパートなのよ。

あなたたち、ここのアパートの秘密を知っても住み続けられる?』

そう言い残すと、その人は部屋へと帰っていった。

その人の部屋は一つ部屋を挟んで隣の部屋だった。


お隣さんはどんな人なんだろう?

そういえば、お隣さんが住んでる気配は感じないけど。


なんだか怪しい。そう感じながらも私たちは夜までそのまま部屋で過ごした。


しばらくすると、

ゴゴゴゴゴゴ..........。

なんの音だ...?


急に鳴り出す地鳴りのような大きい音。

たちまち部屋がガタガタ揺れだした。

地震???

ゴゴゴゴゴゴ。

立っていられなくなるほどの強い揺れ。 

慌てる私たち。

天井からすすが落ちてくる。

家が壊れる...!!!


ゴゴゴゴゴゴ。

ゴッゴッ。

しばらくすると揺れはおさまった。

なんだったんだ??


そういえば、さっきの人は無事だろうか?

そう思い、ドアを開ける。


『っ...!なに...?ここ...。』

私は絶句した。

ドアの向こうに先ほどあった通路がない。

目の前は外。一歩間違えると下へ真っ逆さまだ。


『どういうこと?』


『分かったかしら?あなたたちの部屋は90°回転する作りになっているの。』

さっきの人の声だ。

『そんな...じゃあいつ出られるの?』

『分からない。この部屋は不定期で回転してるみたいだから。』


ってことは、もとに戻るまで私たちはこの部屋に閉じ込められたままってこと?


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

変わった家 北欧りんご @hokuouringo11

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ