いけいけ勇者様44

最上司叉

第1話

魔法使いの薬の評判は国内外問わず凄いことになっていた。


今日の昼に1人の使者が魔法使いを訪ねてきた。


その使者は国に疫病が蔓延したと話した。


その国は小さい国ではあるが海に隣接しているため栄えていた。


貿易も盛んで色々な物が溢れているらしい。


使者の話だとある日1隻の船が入国した。


船員は何名か既に死亡していて残りの3名も直ぐに亡くなったと使者は話した。


あっという間に病気は国全体に拡がり死者は増える一方だと。


そこで前に聞いた魔法使いの薬の話を思い出しはるばる訪ねてきたのだと。


魔法使いはたっぷり謝礼が貰えるだろうとその国へ行くことを決めた。


俺たちに留守の間のことを頼み魔法使いは出かけて行った。



【ボーッ】


船の汽笛がなりどうやら着いたみたいだ。


船の中で国に蔓延している病気の症状などいろいろ死者に話を聞きだいたいの病気の予想はついていた。


魔法使いは国に着くなり急いで薬の素材と薬を作る場所を用意して貰った。


部屋には誰も入らないように言いすぐに薬の調合に取りかかる。


そして翌朝とりあえず試作品ができたのでそれを病院の患者に投与する。


「ウッ…」


今まで苦しそうだった患者が少し楽になった感じがした。


どうやら病気のよみは外れていなかったみたいだ。


魔法使いはすぐに薬の調合に取りかかる。


薬の調合は寝ずに3日続いた。


使者にできた薬を渡し魔法使いは眠りについた。


【ワーッ】


魔法使いはすごい騒ぎで目を覚ました。


「何事だ?」


魔法使いは窓越しに外を見た。


外では薬の奪い合いが起こっていたのだ。


「?」


魔法使いは訳が分からない。


薬は十分に作った。


それが何故奪い合いになっているのか。


そこへ誰かが訪ねてきた。


窓をコンコンと叩いている。


魔法使いはカーテンを少し開けた。


「ここは危険です、すぐに帰国した方が良い」


魔法使いはそう言われ訪ねてきた男に船まで連れてこられすぐに船は出発した。


「ここまでくればもう安心です」


「何があった?」


「王族の1人が薬を独り占めした結果内乱が起こりました」


「薬は十分に作ったはずだ」


「えぇ感謝しております、ですが貴方の作った薬で儲けられると考えた王族がいまして」


「金儲けか」


「お恥ずかしながら」


「それでアンタは誰なんだ?」


「我が国の国王の近衛騎士でした」


「辞めたのか?」


「国王は殺されました」


「!!」


「最後の命が貴方を逃がすことでした」


「そうか…ところでアンタはこの後どうするんだ?」


「国に戻り内乱を収めて国王を殺した人に裁きを受けてもらいます」


「そうか…」


「貴方に渡すものがあります」


「?」


「国王が最後にこれを貴方にと」


魔法使いに袋が差し出された。


魔法使いは遠慮なく受け取った。


そして船は魔法使いの住む国の港へ着いた。


「お世話になりありがとうございました」


「アンタも頑張りな」


「ありがとうございます」


そして魔法使いと男はそれぞれ帰路に着いた。


魔法使いは帰る途中に貰った袋の中を見た。


そこには金貨がたくさん入っていた。


「…」


魔法使いは遠慮なく使わせてもらおうと思った。


そして間もなく男の国の国王が変わったと噂で聞いた。


新国王は殺された国王の元近衛騎士だと。


どうやらやり遂げたらしい。


「おめでとう…」


そう呟き魔法使いは日常に戻っていった。



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