かみさま係

苦悶

第1話 かみさま係

             

              3年生でがんばったこと

                           3年1組 ■■■ ■■



 ぼくが3年生になってがんばったことは、係活動のかみさま係です。4月の係を決める時に、自分で手をあげてかみさま係になりました。

 かみさま係の仕事は、かみさまのまわりをそうじしたり、かみさまの食べるものを用意したりします。そうじをするときは整理整とん係の人ときょう力してそうじをしたり、食べるものを用意するときはきゅう食を食べるときに、自分の分だけじゃなくて、かみさまの分も運んだりかたづけたりしました。

 かみさま係になったばっかりの時は、かみさまのお手つだいをするのは楽しそうだと思ってわくわくしていたけど、かみさまはぼくたちがトイレをするのと同じで、毎日きたない水みたいのを出すので、それをぞうきんできれいにしたり、暑い日や大雪でとても寒い日もげんかんのところまできゅう食をこぼさないように運んだりかたづけるのは大へんでした。でも、かみさまは3年1組を守ってくれるので一生けん命がんばりました。

 あと1か月で4年生になってかみさま係は終わるけど、次に3年1組になる人たちもかみさまをずっと大切にしてほしいです。








 以上の文書は、2023年9月3日に起きた■■小学校集団失踪事件の捜査本部宛に匿名で送られたものを独自のルートにて入手した。また、捜査関係者によるとHPに掲載している匿名通報ダイヤルにも本事件に関して『かみさま』が関与しているという情報提供を受けたそうだ。しかし、本来であればこのような情報提供は誰もがいたずらであると考えるだろう。    

 

 だが、■■小学校の児童27名、教員1名、用務員1名が失踪し有力な手掛かりが見つからないまま既に1週間が経とうとしている。学校は連日マスコミや保護者への対応に追われ、子供が失踪してしまった保護者の中には心身に支障をきたし入院した方もいる。また、ワイドショーでは保護者や学校の教育・防犯対策に問題があったのではないかと昨今の教育の在り方や政治と関連付けて議論を行っている。

 

 そのような中で、私は『かみさま』という存在がとてつもなく匂うと感じるのだ。

 

 そこで、本誌では事件の真相とこの事件の裏に潜む『かみさま』の正体を徹底的に調査するべく、■■小学校の関係者や元かみさま係である■■■君へのインタビューを敢行する予定である。また、今この記事を見ている読者の中で事件関係者がいるのならば、ぜひ情報提供をお願いしたい。



読者の諸君、この事件の真相を見逃すな!!


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