転生令嬢は無能とされる長兄と共に
紅 蓮也
第1話 転生令嬢は長兄に真実を語る①
交通事故で死んでしまったはずの轟奈瑠美は神により好きだったラノベにそっくりな世界に公爵令嬢リナリーとして転生した。
リナリーには、無能と家族から蔑まれ疎まれている無能を演じている長兄。
リナリーは長兄マクベスの部屋に向かい部屋の扉をノックした。
「マクベス兄様。リナリーです。お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
「構わないぞ。鍵は開いているから入いるならはやく入ってくるといい」
リナリーは許可を貰ったので扉を開けて部屋に入った。
「父上たちに見つかったらまずいのではないか?」
「大丈夫ですわ。お父様たちは出掛けていませんからね」
今、屋敷内に居るのは私とマクベス兄様、使用人はマクベス兄様を見下さず接している私と兄様専属の者たちと執事長、メイド長、他の家族よりの使用人も残っているが屋敷内の仕事があるので気づかれることはない。
「それで父上たちがいない間に疎まれている私と話なんて何なんだい?」
「マクベス兄様。なぜ無能をフリをされているのかと思いましてお話をしに来ましたの」
国中のほぼ全ての者が無能を演じているマクベス兄様を見抜けず見下している。
「リナリーは気づいたのか。それとも私の専属たちから聞いたのかな?」
「兄様の専属からは聞いてませんし、気づいたというか……最初から知っていました。
それにセバスティン執事長、マリアベットメイド長も気づいていますわよね」
マクベスは、幼少時は神童と呼ばれていたが10歳の洗礼で何も授からなかった事になっているから現在の扱いになっている。
転生者で元から知っているリナリー、マクベスから話をされている者や執事長、メイド長のように洗礼で何を授かったかは知り得ないが無能でないことに気づくことができた者はマクベスを無能扱いしていない。
「セバスティンとマリアベットは洗礼以降も態度を変えなかったから気づいていると思っていた。何を授かったかは話していないから知らないだろうがな。
それよりリナリーが最初から知っていたとはどういうことかな?」
そう質問されたリナリーはマクベスに自身の秘密やイスカリオー帝国の真実と敵対国とされるマグノイア王国について話すことにした。
その話をするためにリナリーはマクベスの部屋にやってきたのである。
「まずは私の事についてはなしますね。
信じてもらえない可能性がありますが……
私には生まれた時からこの世界とは別の世界で生きていたという記憶があります」
「リナリー……君が転生者だったのか!!」
「あら、マクベス兄様は疑いもしないのですね」
イスカリオー帝国は3000年続く現存する世界最古の国と言われ、イスカリオー帝国を初代皇帝が建国するのに協力した5大英雄は転移者また転生者であったと言い伝えられているので世界の誰でも知っている話である。
だから転移者、転生者の存在は誰もが認知しているが5大英雄は転移者であり、私は初の転生者で5大英雄以降、転移も転生もさせていないと創造神イスカルは言っていた。
なので転生者という存在が過去に居た事は信じられてもいきなり妹である私が転生者だと言っても普通は信じる者はいない。
「ああ、洗礼の時に創造神イスカル様にお会いしたからな。
いずれ私の前に転生者が現れるから洗礼で私が授かったものは隠蔽したから無能なフリをしろな」
無能なフリは創造神イスカルからの言われていたからなのですね。
真に信じられる者には話していいと言われていたとのことなので、マクベス兄様に忠誠を誓っている専属たちには話したということですね。
しかし創造神イスカルもマクベス兄様に転生者が現れると話してあるなら私に教えといてくれてもよかったのではないですか。
そうすれば転生者だと信じてもらえるかドキドキすることもなかったし、マクベス兄様が公爵家から追放されるギリギリのタイミングではなく、もっとはやく話せていたではないですか。
「創造神イスカルに会っていらっしゃのですね。
ではイスカリオー帝国とマグノイア王国についても聞いておられますか?」
「それは聞いていない。創造神イスカル様に詳しい話は転生者から聞くようにと言われたのでな」
創造神イスカル!!端から説明は私に丸投げする気でいたのかコノヤロー!!
おっと失礼……前世は庶民、この世界でいうところの平民だったが、今世は公爵令嬢ですからね……怒りで公爵令嬢らしからぬ言葉使いをしてしまいましたわ。
心の中で思っているだけなので私の口から出た言葉ではないですし、マクベス兄様に聞かれてしまったわけではないので問題はないのですけどね。
「イスカリオー帝国は初代皇帝から血を絶やすことなく3000年続く現存する最古の国というのは嘘です」
「!!」
マクベス兄様もこれには驚いてくれましたわね。
建国から3000年続いている国というのは本当ですが、初代皇帝から血を絶やすことなく続いているというのは嘘なのです。
初代から血を絶やすことなく続いている現存するのは、イスカリオー帝国が敵対国としているマグノイア王国くらいです。
マグノイア王国はイスカリオー帝国建国から100後に建国されましたから初代から血を絶やすことなく続いている現存する最古の国はイスカリオー帝国ではなくマグノイア王国です。
「どういうことだ?イスカリオー帝国の歴史は3000年も無いというのか?」
「いいえ。建国から3000年なのは本当です。
しかし……初代皇帝から血を絶やすことなくというのは嘘です。
イスカリオー帝国建国から110年後に貴族たちが反旗を翻し、初代皇帝の血筋はイスカリオー帝国から失われました」
「5大英雄の子孫たちである5大公爵家も皇家を裏切ったのか……」
「いいえ。皇家を裏切り現皇家である貴族側についたのは我がキリヤ公爵家だけです」
現在は現皇家の血が入り5大公爵家ですが当時は5大英雄の子孫の家は5大侯爵家でした。
「英雄の子孫として5大公爵家があるのに現皇家側についたのがキリヤ公爵家だけというのはあり得ないぞ」
残りの4大英雄の子孫であるヤマナ侯爵家、シュガー侯爵家、シーマーテン侯爵家、サトウ侯爵家は皇家側についていた。
貴族側のイスカリオー帝国乗っ取り後に他家の者が現皇家の当時の皇子や皇女と結婚して英雄の子孫だと騙っているのだ。
「キリヤ侯爵家以外は皇家側についたので英雄の子孫である5大公爵家で英雄の血筋なのはキリヤ公爵家のみ。
他の4つの公爵家は英雄の血筋ではありません」
「……」
同じ英雄の血筋ということで神童と言われていた時には親しくしていた者も居たのか私の発言がショックだったのかマクベス兄様はしばらく黙り込んでしまった。
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