美人
詩
第1話 武装と安定剤
ファンデーションは薄く、コンシーラーでしっかり隈を隠す。
チークは頬骨の上あたりにまぶして、眉毛は目尻の延長線上まで。
定期的なパーマで反り上がったまつ毛には、毛先だけマスカラを。
涙袋にグリッターを控えめに乗せて、アイラインは目尻にだけ。
最後に発色の良いブラウンレッドのリップで唇を締める。
大丈夫。美しい。大丈夫。
反芻するたびに鼓動が強くなり、背筋にじんわりと汗が湧き出る。
深呼吸をして現実から逃げる様にゆっくり瞼を閉じた。
鼻から深い息を吐いたあと、ゆっくり瞼を開いた。そこには確かに完成された自分の姿があり、流花は我ながら「美しい」と感じた。
母譲りの彫りの深い二重。ぱっちりと開かれた瞼。その内に秘める瞳がじっとこちらを凝視している。
その目があざ笑う瞳になってしまう前に、流花は洗面所を後にした。
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