自販機の先の女
シドウ
第1話 あなたのう〇この臭いはお花畑よりも芳醇な香りがしていい匂い好き!
うんこを漏らしたとしても自分のことを好きでい続ける人を彼女に欲しい! そうは思はないか? みんなにも考えてほしい! ぼくがうんこを漏らしたら君たち好きになることある? 普通の人は、くっさ。きっもとかいうであろう。
でも、そうではなく、あなたのうんこの臭いはお花畑よりも芳醇な香りがしていい匂い好き! って言われたら男はこう考えるのではないか?
ぼくと付き合おうって。だから、おまえらもモテるために誰かがうんこを漏らしたらこう言うんだぞ。あなたのうんこが好きです♡
と、2-2組の教室の教卓前のHRが始まらないところで生徒を見ながら妄想していた。
あ、もちろんね。ぼくうんこなんてこの年になって漏らしたことないから! と誰に言うでもなく自分で弁明しながらぼくは席に座る。
ぼくの席は窓側の一番後ろの席……だったら良かったんだけど、その隣の席。
そして、ぼくは周りを見る。
ガヤガヤとクラスメイト達は仲睦まじい様子だ。そしてぼくは……ぼっちである。
はいはい、そうなんですよー。ぼくはいつもひとりぼっちなんですよー。あーあ、話せる相手欲しいな、友達ほしいな。
「ちょっと花宮くん」
一つ隣の窓側の席の方からぼくを呼ぶ女の子の声が聞こえた。
そっちに振り向くと、紫色の短髪で身長は小柄の猫みたいな、それはそれはもう可愛い女子、小岩井水春(みはる)がいた。
しかし、この子は不良(仮)なのだ。学校は時々さぼるし、煙草を吸ってるとうわさで聞くし、何よりも先生に『キモ』と言うのを直接目撃した。
ようするに先生方は水春にてをやいているらしい。
ただ、不良に(仮)とぼくが言うのには理由がある。
この子の日常生活の大半を見ると真面目な生徒と大差ないのである。
真面目ちゃんが少し羽目をはずす様によく似ているから不良(仮)なのである。
「花宮くん、聞こえている?」
ぼっちのぼくにもほぼ毎日話しかけてくれるたった一人の人がクラスにいる。不良(仮)小岩井水春だ。
そうか、そんなにぼくに話をしたいのか……話し相手になってやろう。
「え、あ、うん……どうしたの?」
「用事はないんだけどさ、学校は楽しい?」
学校は楽しいかって……そんなの楽しくない。とは言っても嫌でもないんだけどね。なんだろうなー、ただただ通ってるってだけ。でも、そんなこと言ったら雰囲気も悪くなるし、元気よく答えるか。
「……う、うん……」
「え、ごめん。聞こえなかったんだけど?」
「う……うん」
「そう……」
軽くうなずくと、そうか……と言って話は終わる。
まぁ、ぼくって人と話すとなるとなにを話せばいいか分からなくなるから、何もしゃべられなくなるんだよね。もしかしたら、それのせいで友達ができないのかも。
だって、なにを話したらいいか分からないしー!
小岩井さんとの会話はこれっきりで終わり。
いつかいっぱい話せる時が来たらいいなって思う。
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