第10話 詰んだよ、完全に詰んだ。
私のものづくりは、序盤から難航したがその後もその改善は見られず、難航の途を進まざるを得なかった。何しろ忘れていることが多すぎる。そして手とり足取り教えてくれる人もいない。それでもやらなければならない・・・というわけで今日もやっていく。今日やるのは歯車の軸づくりと板の側面に空けた穴にタップ切りするという作業だ。しかし、旋盤を1人で触るのは3年ぶり。果たして上手くいくのか・・・?
バイト(旋盤をりんごの皮むき器と仮定すると刃物に当たる部分)のセッティングから私は怪しかった。高さを合わせるのに、止りセンタじゃなくて材料で合わせて?ってなって思い出す始末。そしてセンタ穴あけからの端面削り・・・これは材料の側面を削ってきれいな側面にする作業なんだけど、軸に選んだ材料が今まで練習や授業で削ってきたものよりめちゃくちゃ細くて大丈夫かこれ?
そして、ガリガリ、ポキっ。折れたのはバイトのチップの刃先でした。
幸い、大きな事故にはならなかったけど、ショックは大きい。そして考える。この材料、練習に使ってた炭素鋼に比べて、粘り気があるし軟らかい。とすればこの時使うバイトは−
ハイス。私の頭の中に、ふとこのワードが浮かんだ。前勤めてた学校の授業でやった旋盤実習。その時は炭素鋼ではなく違う材質のものを使った。その材料は確か炭素鋼より軟らかくて粘り気があった。そう、こんな感じに・・・。というわけで超硬合金からハイス(高速度鋼)に選手交代。今度はバイトのセッティングもうまくいった。
その後、端面削りは難航したけど外径削り(要はりんごの皮むき)は・・・?
おおおー!久しぶりの割には削れてるー!!ハイスで良かったんだ!
と喜んだのもつかの間。寸法を測ると・・・、ギョエー!!1ミリ削ればいいのに、(10ミリを9ミリにしたかった)3ミリも削ってる・・・、板の穴は通れるようになったけど、スカスカになってっしまった・・・。そして危なっかしい旋盤作業のあとは、タップ切り。けど、ここで問題発生。空けた穴とタップの寸法が合わないため、タップ切りができない・・・。どうしよう、また穴を空け直すか、それに合うタップを探すか・・・。
てか軸どうすればいいの!また細い棒を探そうにも寸法が合いそうな棒が無い。てか、あるのは帯に短し襷に長し状態のものばかりで、さっきより太くはあってもまた削らなきゃいけない。しかし、仮に軸ができたとしてもそれがはめ込めるかどうか・・・。てかさっきのバイトのチップも変えなきゃいけないけど、六角レンチの場所分からないし、あああもう詰んだよこれ、まじでどうする?!
とりあえず問題点書き出してググるか。
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