1月10日(3)

***


 転校初日ということもあり、紅さんの周りには多くのクラスメイトが集まっていた。

「ねえねえ、紅さんって、今、どこに住んでいるの?」

「曽根町にあるマンションを借りて住んでいるよ」

「曽根町っていうと新しくカフェができたところだよね」

「うんうん、たしかおいしいパンケーキが売りのところでしょ?」

「え、そうなの? わたしも行ってみたい」

「それなら、今度紅さんも一緒に行こうよ」

「うん、ありがとう」

 休み時間一発目だが、既に彼女はクラスメイトと打ち解け始めている。見た目通りのフレンドリーさで人と仲良くなるのが得意な人種のようだ。

「この時期に転校って、やっぱり親の転勤とか?」

「あー、うん。でも、親についてきたってわけじゃなくて、今は一人で暮らしているの」

「え、高校生で一人暮らし⁈」

「うん、あ、でも、近くにおばあちゃんちもあるから。たまに手伝ってもらったりしているよ?」

「なるほどー。おばあちゃんがいるから、こっちに引っ越してきたんだねー」

「うん、親の転勤先がちょっと不便な場所だったから」

「あー、そういうことかー。安心して。ここは少し田舎だけど割と暮らしやすい場所だからさ」

「ねえねえ、芽衣ちゃん、芽衣ちゃんってどんな化粧品使っているの? めっちゃ肌きれいなんだけど?」

「あ、それ、うちも気になっていた」

「紅さん、すごい美肌よねー」

「もう、そんなことないって……。化粧品は、○○のを使っているよ?」

「え、それ、あの大手ディスカウントストアでも売っているやつじゃん。わたしのよりもかなり安いのに……」

「やっぱり美人は何を使っても変わらないってことかなぁ?」

「いやいや、そんなこと――――」

 紅さんの席から談笑が聞こえる。同性ということもあり女子の声が多いが、男子の声も時折混ざっている。男女を問わず、彼女は人気なようだ。

 この後も、紅さんに対する質問タイムは続いた。

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