太耀と澪

 てんまるは、きみたけづちう。


ぞうきみたけとかったな。さままえとりさまてきおとこならふさがるてきたおさねばならん……」


 てんまるにそうわれたきみたけは、くわえていたマルかってげつけるとう。


「そのぶくろわりだ、おとこたたかいをかざるに相応ふさわしい。たまえ」

ぼくおんななんだけどなぁ……」


 ちょうがそうかえすと、きみたけマルなかちょうく。


「そのこえ、もしかしてなかちょうるのかい?」

「そうだよ。まさかおとこが、おんなとケンカしたりはしないよね」

たしかに、だんせいじょせいこぶしけるモノではない。……でも!」


  ドスン ブオン

   ドジャシャン

    ガコン ガコン


 きみたけことわると、んでマルみぎストレートでなぐけた。

 はんしゃてきちょうはそのこうげきを、マルりょうよくふせいだうえで、うしろに退りょくころし、ばされるのをふせいだ。


「うゎっ! いきなりなにするんだよ、あぶないじゃん?」


 もんちょうに、きみたけかえす。


「あのたちうそいているとはおもえないけど、どうもきみおんながしない。それと、なんきみしゅうとはべつほうこうわない」

なんだよそれ。おもみでこうげきしないでくれない、たてものこわれたらどうするんだよ。バァァァァカ!」


 そうちょうが、きみたけにそうかえわると……


  ドスン ブオン


 きみたけさいマルこうげきした。

 そのこうげきマル退いてかわし、ちょうマルめいれいをする。


マルんで!」


 じょうくうげたちょうは、きみたけこえもんう。


たてものがこわれるってってんだろう、このバカのうきん!」

「だったらこわさないようこうげきすればい。ぼくはどうしてもきみおとことしてらない、そのゆうかんないけど、きみをぶんなぐらないとけないがするんだ。さぁ、りてぼくたたかえ!」

よわものイジメは、かっこうわるいよ」

きみは、よわくはいだろう!」


 たりかいきながら、てんまるかんがえていた。


ぞうなにっている? おにづちたましいにもようする、もしやぞうこころちょうなにかをかんじているのか……)


「おいてんまるきみたけなにをしたんだよ!」


 ちょうにそうわれ、てんまるかんがえるのをめてちょうかえす。


わしらんな。それよりこんなところあばれさせていると、ともだちやそのははおやつぶされるぞ?」

ぶんでそうけたくせに……」


 マルうちでそうわったちょうは、マルせんをアルタビルきんおもう。


(あのビルのちかくならつし、そこそこひろそう……)


 ちょうマルかいきみたけけ、きみたけかってう。


かった、あいをしてあげる。いてて」


 そのことあとマルがアルタビルきんかってんでくと、きみたけはそれにいてく。

 その姿すがたながら、てんまるはまたかんがす。


さきほどかいからさっするに、ちょうはやはりみおるべきか…… まぁコレはあとかんがえればい。もんだいは……)



 ★★★★



「スセリ、どうにかしてくれ!」


 しゅうわれているたい耀よう

 たい耀ようんでへいそうしているスセリにそううが、スセリはくびよこってこたえる。


です……」

って、スセリ!」


 おどろたい耀ようがそうかえすと、スセリはおもう。


ほんとうに、如何どうことかしら……)


 スセリがったのはほんしんる。

 じつすでに、スセリはけっかいしゅうとららえようとしたが、けっかいはつどうしなかったのだ。


わたしけっかいえざるたましいへだつモノ、づちたいにはわたしけっかいふせちからはず。だとすれば、あのたましいたい耀ようているとことだけどか……)


「きゃ!」


 はしっていたつまずころぶ。


!」


 たい耀ようはしりながらりそうさけび、じょうきょうかくにんすると、しゅうころんでして、ぶんってた。


「うぁ、ぼくってた!」


 おどろいてそうたい耀ように、しゅうとのすれちがざまあやまる。


ちゃん、ゴメンね」


 たい耀ようはそれからしばらはしてから、スセリにう。


「スセリ、ぼく大丈夫だいじょうぶだからほうに」


 たい耀ようはしりながらスセリにそううと、スセリはかえす。


ほんとうだいじょう?」

もんだいい」

かったわ、でもはしないでね」


 スセリはそうって姿すがたした。


(よし…… かっこうけたんだ、ぼくなら如何どうにかる!)


 そうこころめたたい耀ようはしるのをめ、かえる。

 たい耀ようまったためしゅうもそのまりたい耀ようう。


おにごっこはわりかい。なんげたんだい?」

「それはこっちの台詞せりふだ。なんぼくけてんだ?」

「それはきみげたからさ。ボクはきみきらわれたくないもぉぉぉぉん」

きらわれたくって……」

たい耀ようくん。キ、ミ、はボクとおなにおいがする」


 そうってはなしヒクヒクさせると、しゅうつづけた。


きみみんなあいされたいだろ、きらわれたくないだろう」

ぼくのは、そんなんじゃない!」

「あらら、ぜんていはしないんだね?」

「うるさいな! ぼくは……――」


 なにかをおうとしたたい耀ようだが、はいからのこえたい耀ようことさえぎられる。


たい耀よう!』


 たい耀よういてことぬしかくにんすると、其所そこにはぶんりょうしん姿すがたった。


とおさん、かあさん。どうしてココに?」


 たい耀ようおどろいてりょうしんにそうくと、たい耀ようりょうしんたい耀ようり、たい耀ようちちおやしゅうめながらう。


「そのせつめいあとだ。それよりはいったい、かれたしざいこうせいしょうむすさんはず……」


 たい耀ようちちおやがそうわると、しゅうがオーバーリアクションをけてたい耀よううにう。


「い、い、な。い、い、な。パパがしんぱいしててくれたよ」


 そのことき、たい耀ようははおやしゅうく。


貴方あなたさみしいの?」


 むかしたい耀ようが、それでとケンカをしたことおもしたたい耀ようははおやは、そうおもしゅうにそううが、しゅうくびよここたえる。


「チガウヨォ、ボクはみんなわせられるぶんしいだけだよぉ」

「おまえなにってるんだ?」


 しゅうことおもい、そうかえしたたい耀ようしゅうは、オーバーリアクションでかえす。


にんなんかんない。そんななかよわわずがんってるボク、す、て、き、でショ? きらわれたくないよ、ボクをてヨ」


 そんなしゅうに、たい耀ようあきれたかおう。


ぼくえたじゃないけど、なにめんどうくさいことってんだ」

なんだよ、きみだってようかんじだろう?」


 しゅうにそうかえされ、たい耀ようだまる。


「……」


 すると、そのようたい耀ようちちおやが、しゅうかってもんう。


ちがう…… すくなくともたい耀ようよわいてわたしたちおしえてくれた、よわいたうえともだちるんだ。きみとはちがう!」

「ちょっと、とおさん!」


 とつぜんずかしいことしたちちおやおどろたい耀ようだが、それをしてさらつづける。


きみぶんぶんしんいんだ。さいのうってもりょうしんまわりのともだちあいされているしんが……」


 そのこといたしゅうは、うつむいてガタガタとふるつぶやく。


「チガウ、ボクは……」


 そんなしゅうに、たい耀ようちちおやはとどめをす。


どもころからそんなことっていたら、ろくな大人おとなになんてらないぞ! わいげのい」


 たい耀ようちちおやがそうわると、しゅういっ、またいっあとずさり、ひかりにつつまれもと姿すがたもどる。


あぶい!」


 うしなたおしゅうを、あわててかかえたたい耀ようちちおやつぶやく。


いったいなにこっているんだ?」


 そうっているちちおやに、たい耀よううしなってるしゅうかんがえる。


とうさん、ぼくことをあんなふうおもってたのか…… ぼくはアイツには如何どうえてるんだろう?)



 ★★★★



ちょうちゃん!」


 アルタビルきんしずめまもりけっかいおおわれると、アルタビルのおくしょうマルもとに、そうって汗衫かざみ姿のがやってた。


「え……スセリ、たい耀ようくんほうだいじょうなの?」


 マルうちからちょうがそうくと、スセリがこたえる。


たい耀ようは、ほんにんだいじょうっていたからだいじょうでしょう。それよりかれ如何どうにかしないと……」


 かれうのはきみたけこと

 きみたけはアルタビルのまえマルげていた。


「ねぇスセリ…… アイツめるにはこころくだけばいってわれたんだけど、ほんとう?」


 ちょうことを、スセリはおもいながらかえす。


「それはだれいたの?」

みつ……」

 

 ぶんしつげんき、ちょうはそうってくちごもり、スセリはかんがえる。


(これで、このだれかに使つかわれていることはハッキリした…… けど、如何どうしてわたしにさっきのしつもんをしたのか……)


 するとが、ちょうかんがんでいるスセリにう。


ふたともて!」


 そうってしめしたのは、しゅうもともどときはっせられたひかり。

 それをたスセリはかんがえる。


こうはたい耀よう如何どうにかしたみたいね。ほんらいもくてきたっせいしたし、そろそろしおどきかしら……)


ちょうあのぶんからだよわことこころかげとしている。だからソコをきなさい、貴方あなたならかいはずだから」


 おおごえでスセリはそううと、つづけててんまるねんう。


(「退じゅんをおねがてんまる」)

(「さきほどことからして、なにべつしゅうかくったようですね……」)


 てんまるねんでそうかえわると、スセリヒはマルうちちょうく。


づちちからたましいにもえいきょうします。貴方あなたわたしはなしをいて、みずからがけたかれ姿すがた如何どうますか?」

「そんなことわれても……」


 スセリのことを、よくかいしていないちょうがそうつぶやくと、ちょうときからねんる。


(「みおしょうたいがバレてるみたいね」)

(「ほんとう!」)

(「でもぶんだいじょうだとおもう。それよりみおは、かれ如何どうおもう?」)

(「きみたけくんことだよね、ふたともどうしたのさ?」)

(「にんは、おもったじょうにんているのよ。アンタ、ああうタイプきらいでしょ?」)

(「そんなこと……」)

(「ほら、何時いつものみおもどってるわよ。アンタはちょうひともんわれるすべい。なにったらわたしたちめるからあんしんなさい」)

(「……かった」)


 ちょうがおつくねんでそうへんをすると、マルめいれいをする。


マルこんかいだけこうげきに、ぼくりょううでじょうったらきみたけからはなれるようにんで。それとこうげきげんしてね。くよマル、あのきんにくろうにフォールダウンキック!」


  ガゴン


 そうめいれいされたマルは、げんをしてきみたけりをった。

 マルこうげきみぎうでふせいだきみたけは、ちょうけてもんう。


っていたあいに、ちはきょうじゃないか!」

「おまえかっになぐってたんだろう。それとぼくは、おまえみたいなきんにくしじょうしゅぎはだいキライい!」


 ちょうがそうほんしんあおると、きみたけちからつよへんかえす。


ぼくも、きみしゅうみたいなやつだいきらいた!」


 きみたけひだりマルかたあしつかみ、めんけようとするが……


  ブーオ ガッシャン 


 ちょうマルかたよくでアルタのスクリーンをたたこわすとどうに、りょうをバタつかせ、きゅうげきマルきみたけから退かせた。


「うわっぁぁぁぁ!」


 そのためマルげるちゅうだったきみたけは、うしろとよこたいしてのつよちからけ、バランスをくずし、さけびながらそのままたおはじめた。


  ブォォォォォォォン

   ドガシャン


 マルかたあしつかんでいたきみたけは、はんしゃてきマルばなことず、そのままぜんしんめんけ。かたあしつかまれていたマルも、そのままどうたたけられそうにるが、もうかたほうあしりょうよく如何どうにかバランスをってちゃくする。


 きみたけてんとうしょうげきマルかたあしはなしたので、ちょうマルかいきみたけかおのぞむと、きみたけ鹿にしたさまう。


ころときは、ってるものはなせってしょうがっこうはいまえわれなかった? そんなことないようじゃあ、いくらからだじょうでも、おとこらしくあそぶなんてだよね」


 きみたけは、ちょう姿すがたしょうがくせいていがくねんぐらいだとっているため、そんなどもころばされたことと、とおまわしにきんにくってもうんどうしんけいいから、おとこらしくあそぶのはわれ、こころつぶれ、ひかりにつつまれもと姿すがたもどった。


 それをとどけたてんまる姿すがたし、ちょうことかくれていていたときは、クスクスわらう。



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