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「めぐみはよく笑う女の子だった。笑顔が素敵で、いつも僕はめぐみの笑顔に見惚れていた」

 笑顔。笑顔か。とのぞみは思う。

「めぐみは頭が良くてたくさんのことを僕に教えてくれた。めぐみと話をしていて僕は感心することばかりだった」

「しずくさんよりも頭が良かったんですか?」驚いたのぞみは言う。

 しずくはくすくす笑いながら「うん。よかった。高校の成績は同じくらいのだったけど、本当の頭の良さはめぐみのほうが良かったと思う。高校のとき、テストの成績で僕が勝つとめぐみはすごく怒ったんだ。君はあんまり勉強したないのに私以上の成績を取るのはずるいって言ってね。すごく本気で怒るんだよ。ひどいよね」と言った。

 そんな話をするしずくはのぞみの今まで見たこともない表情をしていた。

 のぞみはしずくの淹れてくれたコーヒーを一口飲んだ。

「めくが僕のことを褒めてくれたのは絵を見せたときだった。僕の絵を見て、これ、本当に君が描いたの? と目を丸くして僕に言ったんだ。そのとき僕がそうだよって言うと、すごいねって真顔で僕のことを褒めてくれた。そのとき、絵を描いていてよかったと僕は思った。だってめぐみが僕のことを褒めてくれたのは絵を見たときだけだったから」しずくは言った。

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