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「愛しているんですね。めぐみさんのこと」

 しずくの作品集を閉じてのぞみ言った。

「愛している。出会ったときからずっと。今も。そしてこれからも」としずくは言った。

 その言葉を聞いてのぞみの胸の奥はちくちくした。

「聞かせてくれませんか? めぐみさんのこと」とのぞみは言った。

「めぐみのこと?」しずくは言う。

「はい。めぐみさんのこと。めぐみさんとしずくさんのこと。二人の出会いや大切な思い出のこと。私に教えてくれませんか?」とのぞみは言った。

 しずくは少しだけ迷っているようだった。

 でも少しして「じゃあコーヒーでも淹れようか? コーヒーでも飲みながらゆっくり話をしよう」とにっこりと笑ってそう言った。


「めぐみは僕のことをずっと大っ嫌いだって言っていた。出会ったときからずっとだ。気に入らないって言っていた。だから僕はめぐみに愛して守られるような自分になろうと思ったんだ」

「それは高校生のときのお話ですか?」のぞみは言う。

「そうだよ。高校生になって僕はめぐみと出会った。僕とめぐみは十六歳のときに出会い、十八歳のときに別れた。ちょうど高校の三年間。僕とめぐみは同じ時間を共有して生きていた」としずくは言った。

 のぞみがしずくと出会ったのも十六歳だった。違うのはしずくの年齢だった。しずくとめぐみは同じ十六歳のときに出会い、のぞみはそれから三年後のしずくが十八歳のときに出会った。

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