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 しずくの家にあるおおきな鏡に自分の姿を映しながら我ながらまだ全然制服も着られるなとのぞみは思った。

 ただスカート丈は短すぎたかも知れない。(かなり短かった。そっちのほうが可愛かったから仕方ないのだけど)もう少し長くしたほうがしずくに良い印象を与えることができたかな? とのぞみは笑顔でそう思った。

 持ってきたエプロンをつけてのぞみはしずくの家のキッチンに立った。木の材質で作られた綺麗なキッチン。のぞみと同じようにエプロンをつけたしずくは今、コンロのところで卵焼きを焼いている。厚焼き卵を作るようだ。

「それはめぐみさんの好物ですか?」

 しずくの隣に立って料理の手伝いを始めたのぞみは言った。(そう言いながら案外自分はいじわるでしつこい性格をしていると思った)

「違よ。あのころは料理はほとんどなにもできなかった」手を止めないままでしずくは言った。

「じゃあ料理は誰に教わったんですか? 違う彼女さん?」野菜を包丁で切りながらのぞみは言った。

「自分で学んだんだ。僕がお付き合いをした女の子はめぐみ一人だけだよ」となんとなくのぞみの持っているきらきら光る包丁を気にしている様子のしずくは言った。

「そんなんだ。じゃあ私はしずくさんの二番目の女ですね」とのぞみは言う。

「アイドルが言う台詞じゃないね」

 ベーコンを焼き始めたしずくは言う。

「しずくさんも案外わかってないんですね。食うか食われるかの、競争の激しい世界なんですよ。表面上はともかくとして実際にはもっともっとどろどろとしてます」と悪い顔をしてのぞみは言った。

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