第26話 旅行局

「まいどーぅ。星間旅行社スタベラの日帰りバスツアーのご利用ありがとうございますぅー。」


着物、しかも漫画などでよく見る膝上丈の振袖を着たバスガイドが説明を始める。


頭に虫みたいな触角が付いているし、頭髪をアップにして頭頂部でちょんまげにしている。

何のコスプレなんだろうか?


あれでもおそらく第2種知性体のはずなんだけどもう意味わからん。


お客がみんな10歳前後の子供に見えるので小学校の遠足みたいだ。


20人ぐらいだろうか。


シンもアキとラドとの3人でツアーに参加している。


「アタシーわぁガイドのぅーミルゥカでーす。」


「本日の目的地わぁー、宇宙星域285、ネコの足星系 クツシタノアナ惑星の建国58,793回記念パレードとー、浮遊大陸にある最新のチョコレート工場のぉー見学をぅー、ん?えっと?あーぅ、行きます。」


バスガイドはちょっとかんだみたいだ。


「えへへっ。」とか言っている。


まだバスツアーも始まったばかりだし、この子もおもしろそうだからやっているだけでアーフの方が上手だと思う。


「目的地までは乗機後ぅ、起動してから2.24秒ぅ。快適な時空バスの乗り心地はお楽しみ頂く事はできないとーぉ思いますぅー。あははー。」


ミルゥカちゃん笑っちゃダメでしょ。


衣食住が満ち足りすぎるほどになり、自由な時間が有り余ると色々余計なことでもしたくなるものだ。


好奇心や探究心、冒険心を抑えられないのがペコ人?今はエデン人か。


それならばと目をつけたのが星間通商連合の宗主国M76星団 ウリアレス恒星団、惑星ヴァイ統一国家の星間通商連合新規事業部。


エデン政府に旅行局を作らせた上で(星間パスポートを発行させないといけないからね)星間旅行社スタベラを開業した。


エデン政府ってのはピータンに任命されたシンのことで、旧惑星ペコの各国は連合との事はシンに丸投げだ。


連合に核を無効化されて反物質兵器を見せられ、さらに異星人との交戦を目の当たりにしてエデンの各国は完全にびびってしまった。


さらに高度知性体であるピータンを目前にして従来の宗教や信仰は崩壊した。


ピータンこそが神に等しかった。


すでに利害や従来の宗教によって国境や国家を維持する意味は希薄になっている。


別に連合はエデンの各国の戦争や紛争には関与しないし、興味もないようだ。


エデンのなり行きなどそんなに急いではいない。


別に何万年かかっても遅くはないのだから。

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