第25話 開戦

第327星間連盟の代表 文明レベル第4種知性体ウェクイ惑星人ルキルカを追ってこの星系に来た。


バユリム星系アンヘル宙族艦隊。

文明レベル第3種知性体アクブド惑星人が率いる艦数15000に及ぶ我が艦隊にあんな格下の宙族ごときが相手になる訳も無い。


さっさと投降すればいいのに。


あいつらもあいつらがあっちこっちで掠奪した獲物もまるまる手に入る。


「うきゃきゃ、まさに漁夫の利だわ。」


アンヘル宙族艦隊ミフェヴェ艦長は濡れ手に粟を想像してちょっと舞い上がっている。


おでこに小さな角があるぐらいで見た目は小さな女の子。


やはり高度知性体にはネオテニー(幼形成熟)である事が必須なのだろうか?


しかし話し方などから高度知性体って感じが全然しないのはなぜなんだろう。


知性って一体なんなんだろう?


副官のヘフェヌが叫ぶ。


「艦のコントロールが効きません。操縦の優先権が奪われているようです。」


「宣戦布告の通知が来ました。即座に連合法に基づいた降伏の意思表示をせよと言っています。」


「え?連合?そんなもん相手にしたつもりはないけど?」


そう考える間もなく宇宙空間なのに振動を感じる。


艦隊の中央辺りの宇宙艦が2000程消えた。


周囲の艦も爆震に振り回されている。


「反物質兵器を使ったのか?あんなもの使ったら星域ごとなくなってしまう。」


「大丈夫だよ、充分にコントロール出来るから。」


ピータンの声が艦橋に響く。


「まだ降伏について返答していないのに何故攻撃した?」


「お前達宙族に優しくする必要などないからね。」


ピータンの冷たい声が艦内に響く。


「連合に敵対したつもりはないのだがどうして。」


圧倒的に技術力の違う連合に対しては攻撃する術も防御も出来ない。


「連合は第327星間連盟の代表 文明レベル第4種知性体ウェクイ惑星人ルキルカと同盟を組んだ。ルキルカの敵は連合の敵ってこと。それでなくても連合は宙族を許さないんだけどね。」


「え?そうなの?」


ルキルカの素っ頓狂な声が入ってくる。


「知らなかったの?」


「それにあいつらキミちゃん帝王様の航行器に攻撃しただろう。」


「ちくしょう、まんまとルキルカに連合の前に誘い出されたって事か。」


ミフェヴェ艦長が地団駄を踏んでいる。


その間にも攻撃は続く。

片っ端から宇宙艦が消失する。


「やめてくれ、頼むからこれ以上攻撃しないでくれ。」


「文明レベル第3種知性体を跡形もなく失ってしまうのも惜しいような気がするよね。」


「宙族なんか出来ないぐらい弱体化させてから捕縛してあげる。優しいだろ?」


ピータンの額の目が今までになくピカピカに光っているし、すごく上機嫌だ。


「悪魔だね。」


キミちゃん帝王様がつぶやく。


ルキルカも震え上がっている


第2種知性体って。


シンとラドは完全に他人事って感じで漫画を読みながらお煎餅を食べている。


そうそう、惑星ペコでは以前にピータンがエデンの復活って言っていたのを受けて星の名前の改名で盛り上がっている。



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