第11話 条約締結
国連も各国の政府も沈黙している。
全世界の人間に星間通商連合法がインストールされて強大なテクノロジーと軍事力の知識を頭に押し込まれて抵抗する事が無意味なことを思い知らされた。
ところがあの女の子達には全くそういうつもりは無くて当たり前の措置なのだ。
むしろ親切で優しく見える。
シンとピータンと2体のアーフ以外は田延 (たのべ)家のリビングやダイニングで紅茶を飲んでくつろいでいる。
キミちゃん帝王様は王冠とマントを取ってしまうと20人ぐらいいる側近の子達に溶け込んでしまうぐらい個体差がない。
ラドはシンの母の膝にのせられている。
目を見開いて見ている。
地球人(ペコ人)にとっての大きな歴史の変化の始まりとなる瞬間を。
何か意見をする訳でもなくただ見ている。
ギルガメッシュやマヤ、アトランティスやムーなどの古代文明を見てきた目で。
そうしている間にもシンと言う少年と星間通商連合の担当ピータンの間で相互を補佐するアーフ(人造人間Artificial Human)同士でどんどん条約や協定の類いが結ばれて行く。
そしてそれはその場で全人類の脳にダイレクトにインストールされ告知され周知された。
与えられた情報に基づいて精査するとそれら条約は立場の違いからむしろ地球人(ペコ星人)にとって有利な不平等条約だった。
地球人(ペコ星人)にとっては、さまざまな知識や技術が一方的に全人類の脳にインストールされた。
これだけでも恐ろしい程の利益だ。
その上外敵に対する防衛を担ってくれると言う。
確かに連合の様な異星人の侵略にあえば地球人(ペコ星人)にはなす術がない。
地球人(ペコ星人)自身の防衛力については現状のように統合されていない状態では連合の軍事兵器を持たせる事は先送りにせざるを得ない。
「やーい腰抜け共、俺はこんな条約なんか認めないからな。俺の国は俺のものだ。上位の知性体だろうがなんだろうが勝手にはさせんぞ。」
この独裁国家の代表様、相手はともかくとりあえず上からものを言われるのが大嫌いのようだ。
確かに連合のやり方は強引すぎている。
各国がお利口さんして黙っているのもやむを得ないが歯がゆい限りだ。
やめとけばいいのにこの代表様、核ミサイルを上空に待機しているキミちゃん帝王様の球体型移動器に向けて発射した。
ただ、この球体型移動器デカいので近くに見えるが高度800kmと衛星軌道よりも離れているのだ。
衛星軌道ぐらいが精一杯の核ミサイルの射程外だった。
高度400kmに到達した核ミサイルは衛星軌道に乗っかった。
衛星を打ち上げるのには充分の能力を持っていたみたいだ。
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