第6話 反撃

「ピータン、ピータン、たーいへーん。アグウグ帝国(本当はもっと長くて人間には発音出来ないし聞き取れない名前なんだけどとりあえず)が辺境惑星ペコに接触したわー。」

アーフの一体がバタバタと新規開拓課のオフィスに駆け込んで来る。


ピータンがスーツケースに持って行く衣装やおやつを詰めている所だ。


本当は航行器内にいくらでも収納出来るし後から転送する事も出来るからスーツケースなんかいらないのだけれどピータンは「旅の雰囲気って大事なの。」って。


「あーっ、キミちゃん帝王様の奴(本当はもっと長くて人間には発音出来ないし聞き取れない名前なんだけどとりあえず)、星間通商連合をハッキングしてたのね。」


「帝国は連合議会と違ってキミちゃん帝王の気分ですぐ動けるから。」


「うーん。議会の決裁は2.5秒で降りたから遅れたのはピータンが衣装をどれにするか迷っていたからよ。」


「えへへ。」


「とりあえずさっさと辺境惑星ペコに行きましょう。」



「あーっ。」


「えーっ。」


「なんなのよー。」


「こんな恥ずかしい事ってある?」


どうやら帝王様となんか突然現れた星間通商連合の宗主国M76星団 ウリアレス恒星団、惑星ヴァイ統一国家の星間通商連合新規事業部開拓課課長ピータン(長い)の服が被ったみたいだ。


二人とも同じピンクで同じデザインのワンピースだし、どうやら靴まで一緒。


とってもバツが悪い。


「わしの方が先に来たんじゃ。」


キミちゃん帝王様が腰に手を当てて、そりかえって威張っている。


「うちらの情報をハッキングしたくせにー。まだ何も協定や条約を結んでいないんだから関係ないわ。」


「それよりなんで同じ洋服きてるのよー。そこまでハッキングする?」


「何を言う。そっちこそ何も考えずにイオソでマネキン買いしたんじゃろう。」


イオソは宇宙最大のショッピングモール。


流行の最先端の服を扱うテナントも入っているから自分で何着たらいいかわからない流行音痴でも安心。


「キミちゃん帝王様、それ言うとブーメランになっちゃいます。」


「はーい、みんなの分イオソでマネキン買してきましたー。よくわかんないしー。」


帝王様の部下の一人が普通に言う。


「ふーん。少なくとも私は自分で買いに行ったわよ。」


ピータンが自慢そうに言う。


「アーフに連れられてお店に行ってこれにしなさいって決めてもらったんだけどね。」


アーフの一体がさらりと言う。


似た者同士の様だ。




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