第22話 短命すぎる団欒

牢の格子を曲げる。まあ結局ここに入ったのは最初だけだけど。

「口封じたって、タオル詰めて物理的に?あいつらほんとにバカなんじゃない?」

「…私は戦闘系趣味ウェポンがないからな。」

「最初の言葉はそれ?」

「すまない。…ありがとう。」

「私は、あなたを信用してない。それは本当。でも、お兄ちゃんを悪いようにはしない人だってわかってる。ごめんね、口がちょっと悪くなっちゃって。」

「才斗のことになったら、人が変わるんだな。」

そう、少し微笑みながら言った。

私たちの関係は、悪くはない。ただ、一定の距離がある。だがそれでいい。それが一番なのだろう。

でも、自然とタメ口になった関係性は、たいていいい関係になる。そんな気がする。


「才斗の状態についてだが、これはまずアリエボのせいではない。そして、私の意図的なものでもない。その2つは保証しよう。」

「まあそれは予想通りかな。これ、そもそもデバフかな?」

「いや、これは呪印メレディクションの部類になる」

呪印メレディクション?」

「そうだ。呪印メレディクションはデバフと違い、治す方法が趣味ウェポンを用いるしかない。そのため、解呪系の趣味ウェポン持ちにまず出会うのが前提になる。しかもこれは低級や中級なんてもんじゃない。簡単に解除できるとは考えにくい。

その呪印メレディクションがいつ、どういう状況で現れたか、教えてくれないか?」

「それが、はっきりとはわからなくて。ただ、お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなくなったときがあって、それ以降いつの間にか…かな。」

「そうか。思い当たる節がないな。

「てか!さっきから色々知らない単語とか複雑な情報が多すぎるよーーー!」

「すまない。とりあえず簡単にまとめると、私が想定していた以上に厄介な状況かもしれんということだ。」

「や、やっぱり…」

「ひとまず、今まで隠していた情報全て話そう。そうじゃないと話が円滑に進められない。」

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