Hobby Mistrick
Tenia
エピローグ これこそが日常
第1話 無能趣味の覚醒手
「すみません…。僕はもう写真を撮らないと決めてしまったので…。」
「えぇー!?才斗くんに撮ってもらった写真、すっごく映りよくなるのにー!!」
「写真家の
あれからカメラを向けることが怖くなってしまって…。」
「…そっかぁ。才斗くんだったら他の
「…そうなると信じてます。それでは、お先失礼します。すみません。」
申し訳ないという気持ちで心身が埋め尽くされる。
教場に行ってこんな思いするなんて考えていなかった浅はかな自分にも無性に腹が立つ。
しかし、どのようなことが起こっても自分には、カメラを人に向ける勇気など出るはずがないだろう。
んまあ、もし今その勇気が手元にあったとて、なんとなく撮る気にはなれない。
今日は僕のもう一つの心臓とも言えるこいつとの別れの日だと考え、カメラを提げてきた。
もうお別れだなんていっちょ前に言ってるくせに、趣味である寄り道をし、
綺麗な景色を見かけては、その空間を切り取りたいだなんて考えになるんだから、皮肉な話だ。
なんて呑気なこと考えてたらいつの間にか家に戻れたようだ。
えっとー、ん…?
「あー…やらかした…」
僕はこういう独り言が口に出るタイプの人間だ。
いやいや、そんなことじゃなくてな。
晩ご飯の買い出しに行くのを完全に忘れていた。
あまりこういうことはないのだが。
まあ心身ともに疲れているんだろう。しょうがないさ。
ったく、また道戻らないとな。
なんだかんだ、こういうのすっぽかしたら櫻良に怒られるのが目に見えている。
「よしよし、ようやくついたぞー!アネット!」
アネットと略すのは僕と櫻良くらいだろう。
A《アーネスト》マーケット、アーネストは本気という意味だ。
名前通り、むちゃくちゃ価格競争に本気だ。
かなり安い。よってみんなが活用する。ここに来ると、大体友達がいるもんだ。
まあ、対して友達と呼べる人は多くもないのにな。
さて、ぶつぶつそんなことを言いながら買い出しを終えた頃…
「おぅおぅおぅおぅ…。」
ここは沢山の人が活用する、みんなのいこいのスーパーだ。
それ故、まあ”良くないやから”が現れることも珍しくなく。
「ちょっと!!まちなさいよ!!」
ん?これって櫻良の声か?
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