第9話―平手政秀―
それは虚を衝かれる一報だった。
様々な問題を抱える混迷の真っ只中に立ち、
ある凶報が伝わり織田信長は戦慄させるに等しい悲しみを与えた。
場所はとある社長室。
「平手政秀……このタイミングでどうして自殺したんだ」
荒風に揉み砕かれる企業が生き残るため立ち止まっている余裕は無い。
萱津(かやづ)の戦いを勝利。
元上司である清須織田家に刃を向けてから以降から戦いは続いて決着は二年後とされていた。
平手政秀は信長公記によれば織田信長が幼い頃に付かせて第二位の家臣。かつ教育係として兼ねる。
その自害は謎が多くハッキリされていない。
「うおぉぉぉーーー!!」
信長はひとり、
家族のよりも長く傍について実の両親よりも勝るとも劣らない尊敬をしていた。
また家族が失った疎外感と不運の連続がどこまでも起きた何度目になるかと呪いたくなる青天の霹靂。
「何事ですか社長ッ!?」
急いで社長室に駆けつけたのは前田利家。
ノックもせずにマナを忘れて入ってきた部下を信長は咎めもせず目を白黒とする。
「お前は前田利家か」
「はい。まだ新入社員ではありますが憶えていただき今の俺は心が震えるほどに感動しています。
それよりも社長どうされたのですかぁぁーー!」
「そ、そう叫ぶな。
耳が壊れそうな高い声を」
「こ、これは失礼しましたあぁぁぁぁーーっ!!」
スライディング土下座をかます利家。
なんて暑苦しいんだと信長は心中で呟く。
思ったことをそのまま口にしたらパワハラと訴えられるので余計な言葉を言わないようにしてのこと。
「お前には話してもいいか。実は――」
悪いことが続いている中で耐えられず感情の吐露したことを説明をした。
存外それまで悲観していた感情が少しだけ楽になっていた。
「――なるほど、そのようなことが。
平手政秀殿は社長の奇行をおそらくですが止めるために自殺されたと思います」
「ど、どういうことだ!?奇行を止めさせるためだけに自殺するのは無理ないか。
あと、俺のこと奇人と扱うのか?」
この会話をされている平手政秀が信長のさまざまな問題行動に
通説で美談。
この一説はフィクションや物語として最も採用されて普及され有名なものである。
「滅相もありません!
俺は社長が苦しんでいるのをどうにかしたくて」
「そうか……それは失言だった。許せ」
「いえ!誤解させた俺がすべて悪いのです」
大きな声音と軍式の敬礼をして応える前田利家。
「平手政秀どうして。うぅっ」
「社長……失礼!」
一人の部下がいる前でとうとう嗚咽を漏らす。
どうするのが正解か困っていた前田利家は腕を広げて織田信長を抱きしめるという強行に出た。
「何をするッ!」
「今は人の温もりが必要と判断した次第。
秘書がやるべきなのですが俺がその代役を!
恐れ多くも心の傷を少しでも癒そうと思って……」
「利家……ぐうぅ」
急にハグされたことに困惑。
されども織田信長はその
ここで豆知識を提供、だれもが知る織田信長とその家臣である前田利家この二人は
衆道、これを別の表現すればゲイ、BL、同性愛。
明治ほど以降からは同性愛が少数派となっているが昔の武家社会ではよくよくあることだった。
むしろ例外の豊臣秀吉が男を好きでは無いことが珍しい部類に入る。
嘆き悲しみ信長はそのあと
――信長は墓の前で手を合わせる。
「平手政秀よく頑張ってくれた。
……ゆっくり眠ってくれ。
あと、あの世で父に遭ったら信長はビールを浴びるほど飲むと言ってもらいたい。ぜひ、必ず、絶対」
勝利や祝い事によくよく酒宴を開いていた織田信長であった本人はあまりお酒を得意としない。
甘党あるある。お酒はあまり得意では無い。
ここで補足情報。信長公記の第一巻になる【首巻】
に
これに信長は逆恨みをして平手政秀にも影響を受けて次第に不破となったことから実直ではない
信長の態度を恨みを抱えて自害したと説もある。
他にも説があるがナゾのまま。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます