第200話 28階層7
[まえがき]
とうとう200話。2024年の元日に投稿開始して毎日2話更新しているので100日ということになります。なお、ここを書いているのは2024年1月25日。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
スーパーで和食用の食材とミア用のお菓子を買って今日やろうと思っていた仕事は終わった。
さっきサンドイッチパンを食べたし昼食まで時間もある。ひと稼ぎしてこようかと思ったのだが武器を何も持っていないので魔術オンリーとなってしまう。
ここにも武器を置いていた方がいいな。
武器庫にあったメイスでも借りてみるか。
俺は部屋を出て武器庫に向かった。
武器庫には相変わらずカギはかかっていなかった。
近くに誰もいない以上あまり意味がないのかもしれないが、武器庫なんだからカギをかけていたほうが良いのではないか?
あとでアインに言っておこう。
武器庫の中に入って物色したところ、鋼鉄のヘッドが油で磨かれたメイスが持った感じしっくりしたのでそのメイスを借りることにした。
メイスの柄の先が膨らんでいたので俺のベルトのフックにうまく吊るすことができた。文字通りおあつらえ向きのメイスだ。
これほどのメイスだと、何か特殊能力が宿っている。カモ知れない。
あいにく鑑定指輪をはめていなかったので、俺はメイスを持って書斎に帰った。
リュックの中のタマちゃんから鑑定指輪を受け取って左手の中指にはめた俺はさっそくメイスを鑑定してみた。
『名称:鋼鉄のメイス
種別:打撃武器
銘:なし
特性:わずかな確率で対象が即死する。その確率は対象への敵意と振るう速度により増減する』
俺が全力でこのメイスを振ればたいていのモンスターは即死すると思うけど、ドラゴンのような通常一撃でたおせないようなモンスターに対して一撃死が発生するならお得かも?
ただ、クロで数回切り飛ばせばドラゴンだって切り刻めるから微妙ではある。
それより、一撃死の武器があるということは、敵が一撃死攻撃を仕掛けてくる可能性があると考えていいだろう。
何か一撃死を防ぐ手立てがないとちょっと怖いぞ。
敵の攻撃が当たらなければどうってことないかもしれないが、魔法の
28階層で周回していたらそのうち一撃死を防ぐアイテムが見つかるかもしれないから午後からまた28階層に行ってみるか。
そういったアイテムが手に入らなくても万能薬は重宝するしいくらあってもいいものだから。
鋼鉄のメイスを鑑定した俺は、昼食までの1時間ちょっと28階層に跳んで行って核とアイテムを集めてくることにした。
前回から数日たっているので、そろそろ罠が復活している可能性がある。
宝箱も復活するかもしれないので、そのあたりも確かめたい。
なので、俺はリュックを背負って28階層の最初の部屋、渦のある部屋に転移した。
もちろんフィオナは俺の右肩の上だ。
部屋に現れて早々にディテクトトラップを意識したら部屋の真ん中が赤く点滅した。
たしか前回も部屋の真ん中で赤く点滅したはずなので、罠は同じ位置で復活したようだ。
俺は何かの加減で罠を踏んづけることがないように念のためレビテートを発動して、それから罠を解除した。
部屋の中にたったひとつある扉を開けて通路を眺めた。
そしたら、通路の上に前回同様赤い点滅が何個も見えた。
はっきり見える範囲で罠を解除してからディテクター×2を発動したら、またモンスターが近づいてきていた。
やっぱりやって来ていたのは黒スライムだったのでリュックの中のタマちゃんに処理してもらった。
核を受け取り、最初の部屋の扉を開けたところ、棍棒を持った腰ミノの赤鬼だった。
前回は確か黒い大トカゲだったのだが、リスポーンしたモンスターは同じものではないようだ。
赤鬼は棍棒を振り上げて俺に向かってきたので、鋼鉄のメイスをベルトから外して赤鬼に向かっていった。
間合いに入った俺に向かって赤鬼が棍棒を振り上げた時には俺のメイスが赤鬼のこめかみを捉えていた。
メイスは赤鬼の側頭部に一度めり込み、そこで止まらず赤鬼の顔の半分をえぐり取ってしまった。
意識しなかったのだが『力』と『速度』が増す魔法が発動したようだ。
顔の半分、頭部の3分の1近くを失くした赤鬼は振り上げた手から棍棒を取り落として、そのまま後ろに仰向けに倒れた。
今の一撃で
赤鬼の最初立っていた場所の後ろには前回同様銀色の宝箱があった。
先に赤鬼をタマちゃんに処分してもらって核をゲット。
ついでにメイスヘッドにこびりついていた諸々もきれいにしてもらった。
それから宝箱の開錠を意識したら蓋が開いた。
宝箱の中から出てきたのは万能薬だった。これで万能薬は7つになったはずだ。
それから回った石室の中にいたモンスターだが、前回とは違ったモンスターだった時もあれば同じモンスターのこともあった。
時計を見たら12時10分だったので館に帰ることにした。
手に入れたのは野球ボール大の核が8個。
万能薬が4個。全部で10個。
そして魔法盤が1個。魔法盤の中に刻まれていた魔法は全体魔法でスリープだった。その場で魔法盤を折ってスリープを習得した。
スリープについては最後に手に入れた銀の宝箱から見つけた魔法盤だったのでまだ試してはいない。
いつも通りで何も感じなかったが他の魔法同様ちゃんと使えるような気持ちはしている。
モンスターによってはレジストされるのだろうが、スローより役に立ちそうだ。
館に帰ってリュックとメイスを置いて、タマちゃんに預けていた核を机の上に並べてから机の椅子に座っていたら、食事の準備が整っているとアインがやってきた。
アインに核を自由に使ってくれと言って洗面所で手を洗ってから食堂に入った。
俺が椅子に着いて少ししたらミアがやってきた。
俺たちが席に付いたところで給仕の16号がワゴンを押して食堂に現れて料理を並べていった。
最後にフィオナ用のハチミツと小皿、小スプーンが置かれた。
今日の昼食はクリームソースのかかったおそらくスパゲッティとコンソメスープ、それにグリーンサラダだった。
「麺もソースもお代わりがあります」と、16号。
俺の前に置かれた皿の上にはそれなりの量のスパゲッティが盛られていたが、ミアの前の皿には俺の半分程度だった。
残すより足らないものを足す方がいいものな。
とは言え、食べるのは俺とミアしか館の中にはいないはずなのである程度は無駄になる。
多少のフードロスは仕方がない。
カトラリーが並べられたところで、
「それじゃあ「いただきます」」
ちゃんと揃っていただきますが言えた。
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