第155話 要塞整備
[まえがき]
フォロー、☆、♡、コメント、レビュー、誤字脱字衍字報告、ギフト等ありがとうございます。
この場を借りて御礼申し上げます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そして待望の日曜日。
今日はちゃんと装備を整え、タマちゃん、フィオナ連れて農園前に転移した。
台ブキンを用意してきていたので半地下要塞の入り口前で靴を脱いで最初にテーブルの上を拭き、その後ガスコンロを置いた。
この前のポリタンクのは防災用にも使われるもので、タンクの下の方にコックが付いていて、台の上に載せておけばコックを開くだけで水を注ぐことができる。
そのポリタンクをテーブルの端に置き、そこからヤカンに『
ポリタンクをテーブルの上に置いておくと邪魔だから、別途に台を作ってポリタンクを置いた方がいいな。
実際に使ってみるといろいろ足りないものが出てくる。
お湯が沸いたところでコップに紅茶のティーバッグを入れてお湯を注ぎ、タマちゃんから出してもらったサンドイッチと調理パンを置いた。
別に包装の上で食べても何も問題はないのだが、皿があった方が文明人のような気がする。
実際に使ってみるといろいろ足りないものが出てくる。
足らない物リストに皿を付け加えておいた。
皿があるなら食器棚が必要だ。
さすがに食器棚は俺の工作能力を超えているので、購入するしかない。小さな物なら自力で運んで適当なところでタマちゃん収納に預ければいい。
フィオナに桃を食べさせようと思って外に出て桃を摘もうと思ったのだが、タマちゃんが収納しているのでその中からまな板と果物ナイフと一緒に1つ出してもらい、俺が簡単に皮をむいた。
それだけで部屋の中が甘い匂いでいっぱいになってしまった。
ただむいただけではフィオナでは食べにくいので小さく切ってやりまな板の脇においてやった。
フィオナは小さいのに表情豊かで実においしそうに食べる。
一通り食べ終えたフィオナの手と顔をタオルで拭き、諸々を片付けた。
もちろんフィオナでは桃を1つ丸ごと食べきれないので残りは俺がおいしくいただいた。
それではさっそく台の製作開始だ。
基本的にはテーブルと同じようなものなのでその線でタマちゃん製材所に材料を発注した。
でき上った材料に木工用接着剤を塗って組み立てていき、接着剤が固まるまで物はおけないがあっという間に小型のテーブルができ上った。
相変わらず木材の補給なしにタマちゃん製材所から材料が供給されたのだが、大丈夫なのだろうか?
次は買い物だ。
タマちゃんとフィオナの入ったリュックを背負って靴を履き、いつものホームセンターとは違うホームセンターに転移した。
こっちのホームセンターは上の方の階に家具など売っているので食器棚もあるだろうと思ってのことだ。
1階は普通のホームセンターなので、おそらく皿も売っているはず。
転移したまでは良かったのだが、まだ開店していなかった。
時計を見たら後30分。
待っていても仕方ないので、いったん農園前に戻って、勝手に増えてきたイチゴの株のため畑を拡張することにした。
今の野菜畑を池方向にある程度拡張したので当面畑からイチゴの株がはみ出すことはないだろう。
1階層の大空洞では太陽がない代わりに青空そのものが発光体になっている。ここでは太陽があるため東西南北がある。
もちろん畑は太陽に向いた方がいいのだが、土地が広く取れるので畑をどこに作ろうが畑が広ければ太陽は十分あたる。
本格的な農場を目指すわけではないが新しく広めの畑を作っても良さそうだ。
農作業を少ししたところでいい時間となった。
再度先ほどのホームセンター近くに転移して開店したばかりの店内に入った。
まずエスカレーターで2階に上がり、案内板を見たら奥の方に台所関係の売り場があった。
エスカレーターの上り口の脇に台車が置いてあったので、台車を押して売り場に行ったら、立派なシステムキッチンが展示されていた。
もちろん食器棚も各種置かれていた。
小皿とコップを入れるくらいの物なのでかなり小さな食器棚を選んだ。
小さめではあるがそれなりに頑丈そうで高さは俺の腰くらい。
買うものが決まったので店の人を呼んだ。
「この食器棚でございますね。
台車をお持ちということは、お車でお持ち帰りでしょうか?」
「自動車じゃないんですが、持ち帰ります」
「そうでしたか。
現品限りの商品ですので、包装させていただきます」
「包装はいいので、このまま持って帰ります」
「それでは、お会計はこちらです」
店の人が食器棚を台車に載せてレジまで運んでくれた。
代金を現金で払った俺は、台車を押してエレベーターに乗り込み駐車場階で降り、タマちゃんに収納してもらって台車置き場に台車を返して1階に降りていった。
直ぐに食器売り場は見つかったので小皿と中ぐらいの皿。コップとティースプーンと洋菓子用のフォークを予備も考えて5つずつ買った。
やっと買い物が終わった。
時刻は10時半。
ホームセンターを出て小路に入ったところで半地下要塞の階段下、通称『玄関』に転移して、靴を脱いでから土台と床の分15センチほど高くなった部屋に上がった。
落ち着くねー。
さっそくタマちゃんに食器棚を出してもらった。
食器棚を軽く台ブキンで拭いて、テーブル横の台の隣りに置いた。
食器棚には扉も付いているし引き出しも付いている。
ダンジョン材で作ったものは融合したのだが、そういったものが融合してはマズい。
ただ、テーブルも椅子も台も脚が床に融合しているわけではない。
そういった不都合は起きないと考えてよさそうだ。
食器棚に今日買った食器をしまう前に、タマちゃんに食洗器になってもらった。
最初からピカピカだったのでさらにピカピカになったわけではないが、これで一安心。
いつでも使える。
ガスの携帯ボンベも棚の中に入れ、ガスコンロは食器棚の上に置いた。
あっ! お盆を買うの忘れてしまった。
あいかわらず何か抜けてるなー。
お盆はうちにも何個かあったはず。
使わないものなら貰ってこよう。
昼まで時間があったので、タマちゃんたちは置いて俺だけ部屋に戻った。
1階に下りて、
「母さん、お盆の余ったのってない?」
居間でテレビを見ていた母さんに聞いた。
「あら、いつの間に帰ってきてたの?」
「さっき」
「気付かなかった」
「お盆ならあるからちょっと待ってて」
母さんは録画していた番組を見ていたようで、画面を停止して居間から出ていき少ししてからお盆を持って帰ってきた。
「何に使うの?」
「ちょっとね」
「ふーん」
「また出てくるから。
帰ってくるのは5時ごろかな」
「じゃあ気をつけて」
俺は居間から出たところで半地下要塞に転移した。
お盆も手に入ったし、これで抜けはないはず。
俺はお盆を食器棚の上に置いて昼までいい気分でハンモックに揺られた。
腕時計をしているからどうしても必要というわけではないが、壁かけ時計があった方が便利なような気がした。
午後からいつものホームセンターで壁掛け時計を買ってこよう。
12時過ぎたところで昼にすることにした。
おむすびの取り皿とフィオナ用の果物の取り皿のつもりで中皿をテーブルに置く。
次にポリタンクからヤカンに水を注いでガスコンロにかけお湯を沸かす。
お盆の上にコップを用意して緑茶のティーバッグを入れて待機だ。
おむすびと桃を用意して、桃はむいておく。
フィオナがすぐに飛んできてお皿の横で待機したので、桃を小さく切って皿にのせてやった。
フィオナはすぐに食べなかったので、先に食べてもいいよ。と、言ったらニッコリ笑って食べ始めた。
かわいいー!
お湯が沸いたところで火を止め、しばらく待って冷ましてからコップにお湯を注いだ。
今まではお皿も何もなかったのでティーバッグを入れたままお茶を飲んでいた関係でかなり濃くなったけど今度は小皿があるのでコップから皿の上にティーバッグを出しておいた。
お茶を飲み終わったらもったいないのでもう一度使う。
おむすびを食べながら、お茶を飲んでまったり。
6畳
木材が融合してしまっているし、拡張というか建て増しは難しそうなので新築するしかないな。
3個おむすびを食べ、フィオナが食べきれなかった桃を食べたらお腹いっぱいになった。
しばらく椅子の上で休憩して、腹が落ち着いたところでタマちゃんとフィオナがスタンバっているリュックを背負っていつものホームセンターの階段の踊り場に転移した。
今回もセーフだった。
転移とはそういうものなのだろう。
2階に上がってカートを押して電気製品売り場に行き、そこで教室の黒板の上に掛けてあるような丸い壁掛け時計をカートに入れた。
カートを押してレジに向かっていく途中キャンプ用品売り場を通ったらバーベキューコンロが目に入った。
これいいんじゃね?
バーベキューしたら楽しそうだ。
さっそくカートに入れ、燃料の木炭も2箱カートに入れた。
寝袋もあったが、急場の時、跳ね起きるには不便そうだし、そこが転移で往復可能な場所なら要塞に戻ってハンモックで寝れば十分なので見送った。
レジで精算を済ませた俺は前回と同じようにエレベーターに乗って駐車場まで上がってそこでタマちゃんに荷物を収納してもらい要塞に帰った。
リュックを床に置き、壁掛け時計だけ出してもらった。
壁掛け時計は柱にくぎを打って腕時計で時間合わせしてからかけておいた。
掛けた場所は玄関側の壁の真ん中の柱で、俺の背よりちょっと高いところだ。
それから俺はハンモックに横になり、玄関方向を見たら、時計が良く見える。
また一つ文明の利器を導入できた。
うちに帰る前に果物類とイチゴを摘んで果物類はレジ袋にいれてからタマちゃんに預け、イチゴは別のレジ袋に入れてこれもタマちゃんに預けた。今日使ったポリタンクは『
「ただいまー」
『お帰りなさい』
「水と果物持ってきた」
うちに帰った俺は果物類とポリタンクを母さんに渡しておいた。
「その水持って帰るの相当重たかったでしょう?」
「鍛えているから」
嘘をついているわけではない。
「どこに置こうか?」
「そうねー」
結局ポリタンクは台所の流しの脇の食器棚とは別の背の低い棚があるのでその上にコックを手前にして置いておいた。
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