第34話:果物王の絶対領域《フォレストス・ドメイン》
「愚か者め! なにがスイメロンだ! 単なる新種の果物ではないか?」
ドリアン王は笑った。
しかし、スイメロンはその嘲笑に応えるかのように、空中でゆっくりと回転し始めたのだ。まるで宇宙の法則に従っているかのように、果肉と種と果皮が分離し、それぞれが独自の軌道を描いていく。
果肉は鮮やかな色彩を放ち、その回転は俊敏でありながら優雅さを湛えていた。種は小さな星のように光り輝き、その軌道は予測不可能だった。果皮は宙に浮かぶ翼のように広がり、風になびく姿が美しいアートのようだった。
「ドリアン王! このスイメロンの力で、お前の闇を打ち砕く!」
俺の掛け声とともに、スイメロンの各要素は一体となり、ドリアン王に向かって攻撃を開始する!
「なに!? 何が起こっているのだ!?」
ドリアン王は混乱しながらも、スイメロンを攻撃しようとする。
だが、そんなの無駄だ!
果肉はしなやかに舞い、彼の周囲を包み込みながら、甘美な香りを放つ。種は高速で飛び交い、ドリアン王に向けて精密な狙いを定めた。果皮は翼のように羽ばたき、風を起こし、ドリアン王の視界を遮る。
果肉からは甘さと爽やかさが溢れ、種からは勇気と力強さが感じられ、果皮からは神秘と優雅さが漂っていた。スイメロンの攻撃はまるで自然の摂理そのものであり、ドリアン王はその威力に圧倒される。
「ぐああああ! な、なんだと、スイカとメロンにこれほどの力が……!?」
果肉の一撃が彼の身体に触れると、甘美なエネルギーが広がり、彼の闇を浄化していく。種の一撃が命中するたびに、ドリアン王は強烈な衝撃を受け、その力の源を奪われる。果皮の舞いによって彼の動きは制約され、彼の攻撃は空しく打ち消されてしまう。
スイメロンの攻撃は完璧かつ優雅だった。その存在そのものが神々しさと力強さを兼ね備えており、ドリアン王はその前に無力感に襲われる。彼の傲慢な態度は一瞬にして崩れ去り、スイメロンの光り輝く力に圧倒されていた。
「やったか!?」
俺は、スイメロンの圧倒的なエネルギーに倒れるドリアン王を見て、勝利の叫びをあげた。
「まだよ! 見て!」
メロンナ姫が注意する。
ドリアン王は、ゆっくりと立ち上がった。その姿は傷だらけだったが、目はらんらんと輝いていた。
「なるほど……。どうやら、おまえたちを侮っていたようだ……。よかろう、私も本気を出そう。
彼はそう宣言すると、周囲で闇がうごめき、姿を変形させていく……!
さあ、いまこそ、最終決戦だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます