喫茶カシオペア
サブスクウサギ
第1話ナポリタン
私の名前は小岩井 雪、締め切りに追われる小説家だ。
今は出ないアイデアを絞り出そうと原稿とにらめっこだ、アイデアは出ないのに、それに反比例するように、灰皿に溜まるタバコの吸い殻。
(はーあーも)
思わず、大きなため息が出てしまった、それを狙ったかの様に、 時計のベルが鳴った
時計の方を見ると、時刻はちょうど12時。
このまま家に居ても、何にもなんないので、昼飯がてら、少し外に出ようと思い出かける準備をして玄関に出た。
(うぁ眩しいな)
久しぶりの、直射日光に負けそうになりながらも、何とか玄関から歩き始める。
歩き始めて、しばらくすると、レトロな外観の喫茶店がみえた。
(カシオペア?)
看板には、喫茶カシオペアと店の名前が書かれていた。
(取りあえず入って見るか)
何かに、誘われる様に、気づけば、店の扉に手をかけていた。
(すいません)
と店の中に、声をかけると。
(はーい)
と店の奥から、渋い声が、見ると60歳くらいの、渋い見た目の店主が、返事をして来た。
(今大丈夫ですか)
(大丈夫ですよ)
(珍しいねぇ若い女の人が)
(はは そうですよね)
店主と、会話しながら、カウンタの席に座って、出された、お冷を飲みながら、メニュー表を手に取った。
色々な、ざっ喫茶店と言うメニューの中から私は、ナポリタンとコーヒーを頼む事にした。
(すいません)
(はい)
(すいませんナポリタンと、コーヒーをお願いします)
(はい少々お待ちください)
注文を聞くと、店主はニッコリと微笑み奥に下がっていた。
5分くらいして、まずはコーヒーが出て来た。
(はいまずは、コーヒーだよナポリタンもう少し待っててね)
(はい)
店主はそう言うと、また奥に下がっていった。
置かれたカップからは、コーヒーが良い香を漂わせていた。
カップに、口を付けると、漂っていた香が、口の中いっぱいに広がり、程よい苦みもあり、凄く美味しい。
そして 、10分くらいで、ナポリタンも来た。
(お待たせナポリタンです)
(ありがとうございます)
運んで来た、店主にお礼を言って眼の前の、ナポリタンをフォークで巻いて、口に運ぶ。
するとトマトケチャップの程よい酸味が、口の中いっぱいに広がる、初めて食べるはずなのに、どこか懐かしい味だ。
(美味し)
思わず、声が出た。
私の声に、店主がニッコリと微笑ながら。
(そりゃ良かった)
と言って来た。
20分くらいゆっくりと過ごし、ナポリタンもコーヒーも無くなった、所でお会計をする事にした。
(ごちそうさまでした)
レジで、店主にそう言うと。
(こちらこそありがとうございます)
(また お越しください)
とニッコリと微笑ながら、言ってくれた。
会計を済ませて、店から出ると、今までのモヤモヤが嘘の様に、アイデアが生まれて来て、無事に締め切りに間に合いました。
これが、私と喫茶カシオペアとの出会いである。
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