コ・ワ・レ・ル

@mhonda

#1 日常がコワレル

時友晃ときともあきら』は放課後、幼馴染みの『琴村香織ことむらかおり』と談笑中だった。

ふと、何の気無しに窓の方へ視線をやった。

視線の先では、グラウンドで部活が始まっていた。

何ら変化の無い日常……。

―ちょっと平凡過ぎてつまらないぐらいだ。

晃がそう思った時だった。

視界が一瞬薄暗くなり……次の瞬間、逆さまに落ちていく女子と目が合った。

その表情は、微笑みを浮かべていた。

晃のように何人かもその姿を見ていた。

次の『ドスン』という重い音がすると、次々に悲鳴が上がる。

晃を含む教室の生徒達は、思わず窓から身を乗り出すように下を見る。


それは確かに人間だった。

手足が変な方向を向いているが、確かに人だった。

桐里ほの花きりさとほのか

晃のクラスメイトだった。




警察が来た為、あれからすぐに生徒達は帰された。

香織はほの花と友達だったため、校長室で警官に話を聞かれている。

終わりがいつになるかわからないので、晃は先に帰宅する事にした。


晃が現場を通り掛かると、遺体は既に搬送されているらしく、先程の事が嘘のようにも思える。

ただ、生々しい血痕がチラリと見えた。

直後ブルーシートですぐに隠されてしまったのだが。

警察が現場を調べているようだ。

その様子を遠巻きに眺める生徒は少なくない。

当然だが晃のクラスの生徒が殆んどそこに居た。

帰ったのは数人程だ。


少し離れた所から晃が眺めていると、同じように群衆を眺める女子生徒が居た。

晃と同じクラスの『倉吉観鈴くらよしみすず』だ。

観鈴は晃と目が合うと、すぐに場を離れた。

観鈴はどこか一本退いている所があり、まさか野次馬に混じるとは、普段の観鈴の性格からするとそれは意外な出来事だった。

晃もこれ以上野次馬する気にはなれなかったため、それからすぐにその場を離れて帰路に着いた。

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