追放されたらハーレムになれるわけではないのか!?
箱屋
俺とお前と追放マニュアル
とある立派なギルドハウスの一室。
これまた立派な椅子に偉そうに座った茶髪のカッコイイ少年が、黒髪の地味目な少年と対峙していました。
茶髪の少年の隣には、乳のでかい僧侶がたっております。
茶髪の少年は言いました。
「君は追放だ。ナツ」
黒髪の少年は項垂れました。
「そんな…ハル……転生してからずっと一緒に頑張ってきたんじゃないのか…。」
「君の代わりはいくらでもいるからね」
「そうか…ああそうかよ!」
黒髪の少年は茶髪の少年にとびかかり。
─パァン!!!!!!!
強く
ハイタッチをしました。
「「じゃ。」」
そうして、黒髪の少年は、部屋から出ていきました。
……
「ちょっと待てやコラァァァァ!!!!!!」
出ていけませんでした。
「一体全体どういうことよ!?いきなり部屋に呼んだと思ったら追放って!!てか追放って何!?あんたら昨日まで仲良さそうに唐揚げ食ってたじゃん!!?めちゃくちゃしょうもないお喋りしてたじゃん!?」
僧侶の女性は勢いにまかせてツッコみました。
─回想
『そういや今日の沼地、でかいワニの死骸浮いてたぜ』
『マジ?持ってきて財布とか作ればよかったのに。』
─回想終わり
「「あ~あれ。」」
「返答まで一緒!!というかあんたは追放されていいの!?」
僧侶は黒髪の少年:ナツに聞きました。
「いやだって」
『そういやそろそろ俺追放されてもよくね?』
『んじゃ明日とかどうよ』
『いいねそのいきなり感。』
「俺から言ったやつだし。」
ナツは答えた。
「なんで??てかあんたら唐揚げ食いながらそのテンションでそんな話したの!?あとハルもいいの!?ナツ主戦力じゃん!!」
ハルと呼ばれた茶髪の少年は答える。
「さっきも言ったけど、代わりはいるんだ。」
「俺が育てた奴らな。」
「あぁ…あ~?」
僧侶はギルドハウスの仲間たちを思い浮かべる。
タンク担当ちゃん。
魔法攻撃担当ちゃん。
遠距離担当ちゃん。
ナツの完全上位互換の万能職の弟子ちゃん。
「そういえばいたわね。…そういや女ばっかりじゃないのよ。うちのメンバー。なんで?」
「「男のロマン」」
「そうですかい…。」
僧侶は諦めたし呆れた。
「でもそれならなんだって追放なのよ。せっかく育てたんでしょう?」
「ふ…甘いな若造…。」
ナツは偉そうだった。若造というが、彼の方が年は下である。
「追放されると!!ハーレムになるんだ!!!!!!!!」
「は?」
「は?」
「は?」
僧侶は意味が分からなかった。ここの三連続は?はアニメだと3カメになる感じである。
これがアニメ化することはない。
「オレが説明するよ。」
「ハルまでふざけるの?この流れ。」
「オレら転生者の世界では、「ギルドから追放されたら実は陰で役に立ってたポジで、元パーティーがズタボロになる傍ら、後から新しいパーティーと一緒に幸せに過ごして、追い出した奴らを見返す」って話が流行ってたんだ。」
「人間社会での精神の擦れを感じるわね~…向こうの世界には生まれたくないわ…。」
僧侶はかすかな夢をごみ箱フォルダに捨てた。
「俺はハーレムしたい!でもハルの方がイケメン!!だから追放される!!」
「でもそれなら、ここまで鍛えたパーティーにしなくてもよかったんじゃない?」
「俺がいなくなって友人のハルがマジで死んじゃったらヤダ!!こいついいやつ!しあわせになれ!」
ナツは漁船に揚げられたマグロみたいにびちびちと駄々をこねている。
「どうしようこいつ。恋に飢えたゴブリンと友達想いのゴブリンが混ざってる。」
「ふ、じゃ、俺は行ってくるぜ。何!安心しろ。一週間後には5人ぐらい侍らせてここの扉を叩いてやるさ。」
ナツは人間に戻ると、ギルドハウスを後にする。
「さっきまでの駄々でかっこつかないわよ。」
「いってらっしゃーい。出来なかったらドラゴン肉奢りな。」
はたしてこれからの彼の冒険には、何が待っているのだろうか。
6日後。
「パーティーが……できない!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます